コンサルタントのネタモト帳+(プラス)

ビジネスにも料理にも役立つ“ネタ”が満載!社労士・診断士のコンサルタント立石智工による経営&料理ヒント集

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

報道に見る(3):誰が彼を裁くのか?

2006-01-24 | マネジメント
今日になって、堀江社長の「代表取締役と社長からの辞任」と「ライブドア新体制」が発表されました。私としては今回の新体制は大変興味深いのですが、その前にどうしても触れなければならない

今回の件を見ていると、この1週間の捜査や報道を見ていると「ライブドア=悪」という“予断”が入っているのではないかという気がしてなりません。

今回の逮捕容疑は、「証券取引法第158条違反(偽計取引・風説の流布)」でした。改めて確認すると、この条文は
第158条 何人も、有価証券の募集、売出し若しくは売買その他の取引若しくは有価証券指数等先物取引等、有価証券オプション取引等、外国市場証券先物取引等若しくは有価証券店頭デリバティブ取引等のため、又は有価証券等の相場の変動を図る目的をもつて、風説を流布し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をしてはならない。

ということです。今回は「ライブドアの一連の取引が『偽計を用い』に該当し、また、『風説を流布』したことに該当する」ということで、強制捜査・逮捕に至っているとのことです。

しかし、昨日のブログにも書きましたが、今回の逮捕及びその後の報道を見ていて、「具体的な容疑事実は何か?」ということがいまいちよくわかりません。少なくとも検察からの正式発表は無いようですが、「何が」偽計取引とされ、また「何が」風説の流布とされているのかについて、少なくとも報道ベースで明らかになってきていないのです。

「マネーライフ社とライブドアマーケティング社の取引」が逮捕容疑なのか、それともこれに加えて「100分割」まで加わっているのか、はたまた「これらの連続した取引が一つの意図のために為された一個の取引とみなし」ているのかどうか、この点が現時点における本来の【論点・争点】であると思っています。しかし、残念ながらこれらについての報道はあまり行われていません。強制捜査が入る、逮捕される等のことはあれだけ早く速報されたにもかかわらず、です。

私のこの疑問の根源である「危惧」については、47th氏によるふぉーりん・あとにーの憂鬱「正義のコスト」に詳しく論じられています。

今回の一連の騒動・事件は、「ライブドアが良いか悪いか」という点を全く抜きにして、「検察の捜査手法・手続きは果たして妥当であったのかどうか?」「裁判所による結論が出る前に、社会的経済的に致命的な不利益を被ることが良いことなのかどうか?」というきわめて「憲法的・民主主義的」な根っこの部分での問題をはらんでいると思います。この点について、ぜひ一度47th氏のブログをご覧頂き、皆様にもお考え頂きたいと思います。

今回の事件を通してみていると、ライブドア・堀江氏はすでに「制裁」を受けてしまっているような気がしてなりません。少なくとも

○スピード逮捕により、代表取締役としての機能停止に追い込まれたこと。
○「疑惑」報道により、「悪意を持って犯罪行為を行っていた」と印象を与えられたこと。

の2点において、ライブドア・堀江氏は不利益(47th氏の言葉を借りると『コスト』)を被っています。

しかし、法治国家である日本は、「法」の下で裁かれなければなりません。その意味において、まだ現時点においてはライブドア・堀江氏は「単に検察の自己判断による嫌疑をかけられている」に過ぎない状態です。

検察に与えられた権限とは「犯罪行為が行われているという嫌疑のかかっている事実に対して、強制力を持って捜査(調査)を行う」というものであり、決して「嫌疑の妥当性を判断」するものではありません。

もちろん、マスコミも「彼が善人か悪人か」ということを判断するところではありません。こと事件報道については「彼にかかっている嫌疑は何なのか?」「それに対して、どのような理論構成が行われているのか?」「さらに、嫌疑をかけられた側はどのような反証を行っているのか?」ということを中心として、あくまで「ありのままの事実を伝える」ことが、マスコミの使命ではないでしょうか?

マスコミが有識者や「関係者と称する人」の意見・判断を伝えること、はたまた嫌疑をかけられている人の過去の言動等から人格を推定することは“どうでもいいこと”であると、私は感じます。まして、「悪人を作り出す」ことは、マスコミの本旨から全く外れた行為であると考えます。(これは、ヒューザー事件を初め、他の様々な事件にも共通することですが・・・)

かつて日本の報道機関は、松本サリン事件の際に、大変大きな「誤報による」を起こしています。不確実な情報を下に無関係な人をあたかも「容疑者」であるかのように報道した結果、彼のプライバシーはおろか、彼を取り巻く人々、そして彼の人生をも回復不可能なほど著しい影響を与えてしまっています。今の報道を見ると、このときの反省は本当に生かされているのかどうか、正直疑問に感じてしまいます。

ライブドア事件について、現時点では「公判を維持できるだけの証拠がそろっている」かどうかはわかりません(検察のつかんでいる「事実」についての報道がありませんので・・・・)。この場合、可能性としては「堀江氏不起訴(又は起訴猶予)」という可能性もまだ十分あるのですが、もし仮にそうなったとするとマスコミはいったいどう対応するのでしょうか?

長くなりましたが、今日はこれにて。
ジャンル:
ビジネス実用
コメント (4)   トラックバック (2)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 速報:ライブドア堀江社長逮捕 | トップ | 熱発:なれない頭を使ったせ... »
最近の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
TBありがとうございました (47th)
2006-01-25 10:03:14
ちょっと悩ましいのは無罪推定とはいっても、ライブドア自体は市場というか株主に対して説明責任を負っているので、それを果たせなければ見捨てられてもしょうがないというところです。

ただ、その説明責任を果たそうにも、あの捜査をやられたら、どうしょうもないというところで、ああいうエントリーを書いてみました。
メディアの悪癖 (タッキー)
2006-01-25 15:37:03
私はライブドアの株も持っていませんし、関係はありませんが、すぐに監理ポストに入ったことも含めて、あまりに、周囲の動きが早い気がします。



同社が、グレー部分が多い領域で、不正とみなされることをしたのだろうとは思っていますけれど。



メディアの集中報道は、これに限りませんよね。もう悪癖というか、意図的といおうか。それでも、こうして個人の意見が言える場が今はあります。

コメントありがとうございました。 (Swind)
2006-01-25 15:38:03
47th様>

私のブログにまでコメントいただき、大変ありがとうございました。



自分の中で「刑事」と「民事」を切り分けて考えないとという部分が強く出すぎて、かえって混同したような文章になってしまったと感じています。



私ももちろん、株主-ライブドア、従業員-ライブドアといった関係では「民事」の範囲できちんと説明果たしていかなければならないと思いますし、そこに不備があれば、民事の範囲内で解決をしていかなければならないと思っています。(そのときの立証は・・・ライブドア側が行うという解釈でよいのでしょうか?)



以前の法律家が登場するテレビ番組で、民事的な賠償責任を負わなければならないことを頻繁に「有罪」と称していたことがありましたが、「刑罰」と「賠償責任」を混同しているような表現を使うことにテレビの前でツッコミを入れたのを覚えています。(その番組はさっくりと終わってしまいましたが・・・・)



このことを思い出すと、報道機関たるマスコミ自身が「刑事」と「民事」をきっちり区別しているのかどうか(あるいは、区別しようとしているのかどうか)という点が、今の報道状況を生み出しているのではないかと感じました。



Unknown (暴れん坊所長の母)
2006-03-28 10:26:42
初めてお邪魔しました



すごいですね

ここまでの情熱を持って何かに取り組んだらたいていのことは乗り越えられると思えるブログでした



ありがとうございました

コメントを投稿

マネジメント」カテゴリの最新記事

2 トラックバック

「正義」のコスト:コメント・TBありがとうございました (ふぉーりん・あとにーの憂鬱)
(末尾に追記あり) 昨日のエントリーに対して、予想以上に多くの方々からコメントとトラックバックを頂き、本当にありがとうございました。このまま私自身は何かを付け加えない方が美しいかなとも思いつつ、皆さんからのコメントやエントリーを拝見していて、思い浮かん
ライブドア事件へのマスコミの反応 (どうよ、最近は)
ライブドア事件へのマスコミ(NHK以外)の反応、どう思います? 私はすごい違和感を感じますねえ。 だいたい次みたいな反応ですよね。 1、ライブドアはやはり虚業企業で実業はなかった。 2、額に汗して働かない報いだ。   マネーゲームは健全ではない。 3、ホリエモン