夢がひとつこぼれ落ちるたびに、夢を吸い込んでいった壁を眺めてた
壁を打ち破ろうとしていたころもあったけれど、何時しか壁に立ち向かわず眺めるようになった
壁をよじ登るには抱えているものが多くなってた
多くを吐き出しつつも呼吸(いき)する度に抱え込み、吐き出しては抱え込む
それは空気のように姿形なく、いつまでも抱えられるものでなく次々に新しく取り入れなければいけないものなのに
変わって行くものばかりだった
移ろはないものはないと思うほど虚になってた
過去は胸のうちに、未来は頭のうちにあるものと知った
今は胸と頭の両方にあって、多分今だけが本物で
どんな今でも、今こそが私だ