2008年9月、掲示板の前に戻ることを目指す。
そこには、自分と自分の受験番号が載っているかどうかの世界があるだけ。
掲示板では色々な模様が見られた。
「ょっしゃ!」と低く抑えた気合を発する声。
まだ見ていない人の足を踏んづけながら喜ぶ人。そしてそれに怒る人。
なかなか輪が解けないことに苛立って「早く退いてくれよ~」と言う人。
受かったことを確認して、「受かってたわ。これでええわ。」と周囲に聞こえるように言う人。
輪から外れた人たち、男同士で抱き合って泣いていた。
同じローの人、目が合って笑ってた。その人は落ちてた。
同じローの人、俺には気付かずにしきりにうなずいていた。その人は受かってた。
自分は、二回確認して、合同庁舎の脇からそっと抜け出て福島駅に向かった。
人は掲示板の前では嘘をつけない。
不足していたのが何かということを厳然と突きつけられる。
自分が、番号があるかないかの世界にいるんだと思い知らされた。
自分の世界を全うしよう。
忘れっぽい自分は、毎朝それを思い出そう。
そして来年の9月、掲示板に自分を迎えに行こう。