昨日のフジテレビの編成はなかなかよかった。
中村勘九郎の第十八代中村勘三郎襲名のスペシャルの直後に、メントレで九代目林家正蔵を襲名する林家こぶ平がゲスト。
日本の伝統芸能の特異な文化でもある、この襲名。中村勘九郎の場合、惜しい気がする。勘九郎は、「勘九郎」という名前を既に動かぬブランドとして構築しているからだ。まあ、名前を継ぐというのは、それくらいの格が出てからでないとできないのも事実だが、それにしても「勘九郎」という名前が実に惜しい。
いったい、彼ほど天才だと思う人はいない。僕の、芸能人の天才と思う人ベスト3に明石家さんまと共にランクインする人だ。もう一人は教えない。たけしではないとだけ言っておく。
その動作に人格がにじみでるところが、また、その深い人格が、彼を天才と思わせる由縁かもしれない。その最たる例と思うものを話したい。
数年前の大河ドラマの「元禄繚乱」の主演をつとめたが、彼ほど「忠臣蔵」の大石内蔵助にふさわしい人はいないと思った。子どもの頃から「忠臣蔵」は好きで、いろんな「大石内蔵助」を見てきた。里見浩太朗、ビートたけし、松方弘樹、高倉健、佐藤浩市、北大路欣也、中村吉右衛門、松平健。勘九郎には誰も及んでいない。
大石内蔵助という人物は、実に多面的な性格である。ぼんやりしている人柄の人。まじめに武術の心得を持つ人。女遊びも心得る人。危機に際しては強力なリーダーシップを発揮する人。深謀遠慮に長けた人。
まじめ、さりとて遊びもし、普段は目立たないが人を惹き付ける魅力をもつ。そんな特徴は、たけしだとまじめな面が描ききれないし、松方弘樹だと少し堅くて近寄りがたさもある。さりとて、他のキャスティングだと、女遊びを心得る面が描ききれない。
勘九郎は、そうした面を全て満遍なく違和感なく描ききることができた。まじめであり、遊び人でありというイメージはそう簡単にはつくれない。彼の人柄はそう見せることに成功しており、天才だなあと思う次第である。
というような理由で、勘九郎の名前が失われるのは実に惜しい。
そういえば、数年前の長州力のインタビューで、「長州力」の名前を佐々木健介にあげてもいいのではと聞かれた時に、いいけど健介という名前で既に一人立ちしていると言っていたなあ。
いっぽう、こぶ平は、いいタイミングだと思う。まだまだ正蔵の名前は重いと思う。ただし、先代の正蔵の人情話などは、そんなに秀逸と僕は思わないのだが。。。ただ、非常に評価が高かった人の名前を受け継ぐということで、まだまだこぶ平には荷が重いかと思う。
ただ、こぶ平には伸びしろがある。これからに期待。勘三郎もこれ以上に芸を完成させてくれるならばと思うと、楽しみである。
さて、この「襲名」という文化、いろいろ考えると、功罪あるなあと思うのだが、二人ともよい方向にまわっていくと思う。
■ここにトラバ打ちました
勘三郎さん【風(Foo)】
■関連リンク
十八代目中村勘三郎
geinin.jp: 林家こぶ平
林家正蔵『正蔵一代』
中村勘九郎 平成中村座ニューヨーク公演「夏祭浪花鑑」(DVD)
NHK交響楽団「元禄繚乱」(CD)
『元禄繚乱(前編) NHK大河ドラマ・ストーリー』NHK出版
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勘三郎さんの話題に惹かれてお邪魔し、文章も
とても落ち着いた練れたものだったので、
もう少し年配の方かと思いましたら、お若いですね。
私はHP運営にすっかり飽きて、書きたいことを
勝手に書きっぱなしにできるBlogの手軽さが
今のところ心地よいのですが、使い方の工夫で
広がりが出てくると考えるのも面白いですね。
天才?は忘れた頃にやってくる。笑
他のエントリーもご覧いただき、ありがとうございます。うーん、伝統芸能とか戦争のこと書いてるし、少々ジジクサイかもしれませんねw忠臣蔵の詳しさはやりすぎたかなとも思ってますw
まあそういう話題の他にも新たな技術とサービスについて考察し、若さをアピールというところでしょうか。。今後ともよしなにしていただければと思います。