セイナルボンジン

時代を逆行する大きなお友達ブログ。宇宙戦艦ヤマトや東映特撮ほか。

怪奇大作戦②

2017-04-16 18:24:07 | 特撮

1968年制作のSFミステリー「怪奇大作戦」
全話レビューその②。

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■第6話「吸血地獄」
吸血鬼となった美女ニーナと、その恋人の逃避行。
「科学を悪用した人間の闇を描くドラマ」という
シリーズとしては失敗作かもしれませんが、
ホラーの悲恋モノとしては悪くない…ような気がしないでもない。
ラスト、美しい姿を取り戻すニーナが印象的。
( ^ω^ )普通!

脚本を担当したのは、ウルトラマンを生んだ
天才脚本家・金城哲夫。「怪奇大作戦」のコンセプトには
最後までノレなかったんだろうなーという印象です。
彼はこの作品を最後に円谷プロを退社、故郷の沖縄で
若くして不慮の事故で亡くなってしまいました…



■第7話「青い血の女」
殺人人形が次々と人を襲う。その陰には息子夫婦と
折り合いの悪い、発明家の老人が抱える孤独があった。

この話の根底にあるのは、この頃問題になり始めた
核家族問題や、世代間の断絶というテーマです。
ふとした時に生まれた殺意が形となって暴走していく
ワケですが、それより何より人形のビジュアルが怖すぎるw

あと、普段SRIと協力している警視庁の町田警部が、
この件ではあっさり三沢を容疑者扱いするクールさにちょっとビックリ。

好きな話です! 怖いけど(´∀`;)


■第8話「光る通り魔」
汚職事件の罪をかぶって死んだ男が、
生への執着から燐光を発する液体人間となって蘇る。

チープな特撮を補って余りある、牧役・岸田森の名演と緻密なドラマ。
死んだ男・山本の人物像が、地道な調査から徐々に浮かび上がる構成がいい。
真面目だけが取り柄で、皆にさげすまれる男が、
最期に求めたものは何だったのか。
ラストの花嫁の涙は、山本を憐れむものなのか、それとも…

好きな話(=´∀`)
人間がスライムになるっていう説明は、
まあ常識的に考えたらメチャクチャなんだけどw
阿蘇山火口の荒涼とした風景と、牧の情感に満ちた語りで
不思議と納得させられてしまいます。


■第9話「散歩する首」
生首の幽霊が出る峠で次々と交通事故が起きる。
それは死者蘇生の実験に使う死体を得るため、
狂った科学者が仕組んだものだった…てな話。

科学者の神経質なキャラや、被害者の複雑な男女関係など
気になる要素は無くもないけど…
ビミョー(´_ゝ` )。

■第10話「死を呼ぶ電波」
テレビから殺人レーザーが出てきて人を殺す話。
内容は強欲社長が恨みを持つ男に狙われるという
「怪奇」らしからぬ普通のドラマなんですけど、
テンポの良い脚本と演出で、サスペンスアクションとして
それなりに楽しめました。普通!( ^ω^ )

■第11話「ジャガーの眼は赤い」
立体映像の技術を悪用する男が、身代金目的で幼い兄弟を誘拐する話。
これまた「怪奇」らしからぬ、ストレートな犯罪ドラマ。
立体映像のトリックが劇中効果的に使われていて、なかなか楽しめました。
普通!( ^ω^ )

■第12話「霧の童話」
落武者伝説の残る山村に亡霊騒ぎが起きる。
その裏には土地買収に絡む人々の確執があった。
三沢は山村の少年と親しくなり、事件の調査を開始する。

古き良き山村の情景が非常に美しい。
老人達が罪を犯してまで守ろうとした村はしかし、
事件の直後、水害で壊滅する。
近代化された村を呆然と見つめる老人は何を思うのか…
めっちゃ好きな話(=´∀` )

京都タワー(25話)の件もそうですけど、怪奇大作戦が作られた
1968年頃って、日本の風景が大きく変わりゆく時代だったのだなー
ということがよくわかりますね。


~つづく~