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悲劇と喜劇・八月納涼歌舞伎

2017-08-18 22:10:12 | 見る
八月納涼歌舞伎の第二部は、8月16日と17日に見た。
今年の「夏休みは歌舞伎座で」コースは、これで終了。
第二部は最初がちゃんとした悲劇「修善寺物語」、2本目がハチャメチャ「歌舞伎座捕物帖」

「修善寺物語」
面作りの夜叉王を坂東彌十郎、
不遇の将軍・源頼家を勘九郎、
夜叉王の二人の娘、姉の桂を猿之助、妹の楓を新吾、楓の夫を巳之助。
(新吾さんとみっくん、やたらと声の通る夫婦です)
頼家の勘ちゃんは端正で癇性な感じがいかにも将軍さま、しかも暗殺を怖れる立場。

この作品は以前に見たことはあるとは思うが、死相が出てるんでしょ?というぐらいしか覚えていなかった。
今回、こんないいお芝居だったのかと思いました。
権勢に憧れる姉と質実な妹とか、わかりやすさもある。
ラストシーンの、たどり着いた瀕死の姉娘の付けて来た頼家の面を見る夜叉王、
死相が出てしまって失敗作だと思ったのは、
むしろ自分の鋭い感覚、見事な腕の成果だったのだとわかった喜び。
いま死ぬまぎわの娘に顔を上げさせて、スケッチするために凝視する、
「芸術家の業」というのか、凄味があって、感動的だった。
配役のバランスもよかった。
頼家の家来役の萬太郎、前回、「対面」の五郎でいいね!と思った、今回もとってもよかったの、颯爽として。

「歌舞伎座捕物帖」は去年やった弥次喜多道中の続編。
去年は弥次喜多がラスベガスまで飛んじゃって、そこからまた日本に飛ばされて、
最後は花火の筒に入ってて飛んじゃった!という宙乗りで終わった。
今年はそこから続きで、二人は歌舞伎座へ飛ばされてきましたというところから始まった。
だから、最初は2階に作られた出入口から逆に舞台へ降りてくる宙乗りだったの。
そこに客席の通路から歌舞伎座の大工の勘ちゃんが登場し、二人をバイトで雇います。
そこに金太郎(染五郎の息子)と團子(香川さんの息子)のコンビが登場して、顔触れがそろう。

殺人事件が起こっててんやわんや、謎解きの最後は、AパターンとBパターンが用意されていて、
毎回、観客の拍手でどっちにするか決めてた。
16日はA、17日はBと、私は両方見られたので、おもしろかったわ。
全然違うんです、犯人が違うから演出もまったく違うの。
Aだと、犯人は市川弘太郎さん演じる役者で、若旦那(中村隼人)を思うあまりに事件を起こしてしまった。
Bだと、犯人は座元(香川さん、役名が釜桐左衛門!)の妻(児太郎)なの、
しかもこの女はなんと、化け猫だったのだ!
児太郎は、妖艶な悪女ぶりがぴったりだった。こういう年増の役が似合う。
Bのほうがすごく派手な演出だったね、なにしろ化け猫プラス金ぴかの天照大神まで出ちゃうの。
そのかわりAのほうは、香川さんが「半沢直樹」のテーマ曲の中、膝を屈して土下座するのが見られます。

その後、事件が解決して無事に狐忠信が演じられるんだけど、
忠信(隼人くん)が宙乗りになるところで弥次喜多が吊り上げられてしまい、
またまた二人して飛んでいくラストになるの。
この狐忠信のシーン自体もとってもおかしくできてて、楽しかった。

二人の子役、金太郎くんは美少年だけど、声が出てないのと、演技的にもちょっとハッキリしない。
もしかして声変わり?
團子くんは声が通る上に、演技がくっきりしてるのがいいよね。

「夏休みは歌舞伎座で」大変楽しゅうございました。
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