よむよま

よむ・よまない、それから。

回る「髑髏城の七人」

2017-04-08 21:47:05 | 見る
話題の「髑髏城の七人」昨日、マチネを見てきた。

主役の捨之介を小栗旬(この役は二度目なんですね)、元森蘭丸の蘭兵衛を山本耕史、お調子者の兵庫を青木崇高。
敵役の天魔王を成河。
捨之介と蘭兵衛、天魔王は、もとは信長に仕えていた若者たち。
本能寺から8年たっている。

成河さん、演技派なんだけど(役の特徴か、甲高い笑い声を上げてて、ノド大丈夫?と思ってしまう)、
3人と並ぶと小さいんだよね。
前に小栗旬がやったときは、この役を森山未來がやってた。
(私はWOWOWで放送したのを見てて、誰だかわからなかった、うまくて)

青木さんは一番はじけた演技をつけられてると思うんだけど、
若干、こういう演技をつけられてますという感じがするかも。
優香ちゃんは三谷舞台「不信」に出てるし、ご夫婦でそれぞれ舞台で活躍中ですね。

山本耕史の蘭兵衛は、もとから美形の設定の役。
前は女優(水野美紀かな)がやったよね。
耕史くんの最初の登場は、明るい空色の着流しに紗の長羽織、黒鞘の刀。
3人の鼎談でも言ってたように、出てくると殺陣がある、毎回。
殺陣も流れるように美しくを求められてると思う。
耕史くんの殺陣は非常に器用で、そこがちょっと軽くなりがちだけど、
でも、今回のこの舞台でははまってていいと思う。
実はこれまではテレビでの彼の殺陣をうまいと思ったことがなかったの、
なんか腰が高いな、バランスがちょっと、脚が長すぎるせいか?なんて思って。

二度目の登場では、白地の着流しで(あとでこの白い着物に血が流れるのが効果的)、
白い花々の中に月光を浴びて立っている後ろ姿。
吹く横笛は仕込み刀。
(そういえば、土方の横笛が発見されたとか)

髑髏城に乗り込んだ蘭兵衛が、天魔王の言葉に乗せられて、
口移しに薬の入った酒を飲まされるところが、一瞬なの。
口移しが全然、濃厚じゃなかった!(ちょっとつまんない)
すぐ、血を吐き、森蘭丸の本性に戻ってしまう蘭兵衛。
血が似合うよね、耕史くん。
耕史くんの役は、「秀吉の首を取る!」と言ってる役だから、石田三成の後がこれで、
ヘンな気持ちだったかもね。
流麗な殺陣、色気も十分、役にぴったりでいいのですが、
耕史くん、筋肉つけすぎ。
胸筋もだけど肩に筋肉ついてるでしょう、太って見えるから、痩せて!

極楽太夫のりょうがとてもよかった。太夫らしい美女ぶりで、セリフも強い。
沙霧の清野菜名という若手も溌剌としててよかった。

古田新太は今回は刀鍛冶の贋鉄斎で、お笑い部分だけの担当なのがちょっと物足りないかな。
大立ち回りの中をローラースケートで走り回って、小栗旬と刀の「受け渡し」を見事にやってみせます。
捨之介が相手を斬った刀をパッと受け取って、砥石(自分の体じゅうに付けてある)で研ぐの。

いい配役で充実の舞台だった。

話題の劇場についてですが、客席が360度回るという。
アトラクション的にならないのかなと心配してたんですが、それはなかった。
しかし。
回り始めるとき、(座席が動くわけじゃないけど)ぐわんという動き出しの体感があるわけ。
それが何度も繰り返されるうちに、うっとうしくなってきちゃった。
耕史くんがインタビューで言ってた「役者の芝居に集中できるのかな」という危惧とは違うんだけど、
はっきり言って、気が散るの。
見終わったとき思ったことは、
「普通の劇場で見たかったな」
ラストシーンだけ、間口を広く開けて(そこまでは映像を映すために両側を隠してる)
本水の川を流し、上から雨が降ってる風情でミストを降らせてて、
そのシーンがすごくよかったのよ。大掛かり感と空間の広がりが。
ああ、この感じで全編見たかったなと思ってしまいました。
カーテンコールのとき初めて、ぐるりと舞台になってることがわかって、
場面転換はスムーズなのかもしれないとは思ったけどね。
席が前から2列目だったので、全景が見えてないというせいもあるのかもしれませんが。

どうしてこういう劇場を作ろうと考えたんだろうね?
今後、ここを使いこなすとしたら、宝塚とか?
猿之助の歌舞伎とか。
客席がぐるーっと回っていく間に何役の早変わりができるでしょうか!?みたいな。
コメント
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