ハイオク満タンつゆだくで

このご時世にサーキットを走ることにハマってしまったオッサンの顛末

飛んで火に入る夏の虫

2008-07-20 | サーキット遊び
毎年恒例になりつつある、もてぎの12時間耐久レースにゴルフで出場。

朝8時にスタートで、順調に時間が経過していく。
オイラのドライバー番は14時台・・・一番暑い時じゃねーか(汗)

オイラの前ドライバーのJくんは実はこれがサーキット走行2回目w
1回目はTC1000だから、本格的な?サーキット、しかもレースにいきなり、という
まぁちょっと無茶か?と思いつつも、その場のノリで「出ろ」という一言により出場。

そんなJくんから無線で連絡が入る。
「なんかーまっすぐ走らないんですけどー」
一瞬トラブルか?と思いつつも、ピット裏では「ハンドルのセンターが狂ってるから
そのことを言ってるんじゃね?Jは分かってねーからなー」などと呑気な会話。

まぁそれでもドラシャの心配はあったのでとりあえずピットに入れる。

入ってきた車両をピット内に入れ、ジャッキでフロントを持ち上げる。
ドラシャ・・・・んーー、問題ねーなー。
ハブ・・・・・んーー、これも問題ねーなー。
タイヤ空気圧も正常。ブレーキもそれほど減ってない。まぁでも予定ではそろそろ交換の
時間だったので念のためパッドは交換してみる。

Jくんの持ち時間はもうちょっとあったんだけど、人柱車両のチェックも兼ねて
ちょっと早めにオイラが乗ることに。

今年はバックギアにも入れず無事発進。ピットロードを出て一発目の1コーナーで
ブレーキ。

カタカタ・・カタカタ・・

あんれ?なんだこれ?
車体が左右に振られる。

ブレーキング時だけでなく、クラッチ蹴って駆動が抜けたときにもやっぱり左右に。

これって・・・ブレーキ片効きしてない?

んん?んんーーー??

そんな間にも段々症状は酷くなっていく。
フロントというよりも、リアが安定しないというか、リアが左右に振られる感じ。
3コーナーを過ぎてトンネル潜って、130Rにさしかかった時。

ガシャーン

そんなに大きな音では無かったけど、確かに何か破滅の音が・・。

次の瞬間、リア左の車高が落ちたことに気付く。
なんだかタイヤが落ちた感じ。

うは、こりゃダメだ・・・ってことで、スローダウン。
無線で状況を伝えてコース外に出ることを連絡。
ゆっくりと走ればそのままピットまで帰れそうな気もするけど、
朝かなり大きな事故があって、トラブル時はすぐにエスケープしろ、という主催者側からの
お達しもあったので、ともかくサンドトラップに入る。

意外と冷静に無線機だけを取り外し、ラジエターファンもOFFにしてから
S字入り口のポストへすたこらさっさ。

ポストに入ってから、改めて砂にまみれてる車を見ると・・・・やっぱり、
左リアのホイールが・・・・・無い・・・・・。

このイベントではコースアウトしてもオフィシャルがちゃんと救い出してくれる。
修理していけるなら完走を目指せ、という主催者の思惑らしい。
待つこと15分くらい。ようやくレスキュー隊が到着。
サンドトラップから車を牽引して引っぱり出し、車載トラックに載せてくれてピットまで
運んでいってくれる。



その時に改めて左リアを見ると、ホイールがとれたのではなく
ドラムブレーキの外側の円盤ごと・・・・無くなっている・・・・。

オフィシャルが飛んだホイールも持ってきてくれ。
ホイールナットはちゃんとついたまま、ホイール内側にドラムブレーキ外側の
円盤が残っていた。

ベアリング焼き付きによるハブの損傷。。。

もてぎのコース脇の道を車載に載せられたまま移動し、ピットまで帰ってくると
チームのみんなが待っていた。

皆・・・唖然。

と同時に頭に浮かんでるのは「俺たちの夏は終わった・・・・」。

フロントならまだしも、リアのハブ周りなんてスペアパーツを持ってきてるわけもなく。
手押しで自分達のピットまで戻ってきて、一応ジャッキアップしたものの
もう諦めムードが漂っている。

そんな中、とりあえず反対側のハブもばらして構造がどうなってるのか
確認しよう、ってことでバラしてみる。

そしてバラしたハブベアリングを見て、筑波のハチロクで有名なお店のメカニックのS氏が一言。

これってハチロクのフロントハブに似てますね

えーー?うそーん。いくらなんでも日本車とドイツ車のパーツが共通なわけないやん。

と疑心暗鬼の中、S氏は早くも知り合いのハチロクチームのピットにいき、スペアのハブをもらってきた。

・・・確かにほとんど同じだ(爆)

「もちろん細かい寸法は違うけど、ちょっと削ればなんとかなりそう」とS氏。
それから炎天下の中2時間。削ったり叩いたりと悪銭苦闘はするものの・・・・

うっひゃーーーー、本当にハチロクのフロントハブがゴルフのリアについたよwwww

オフィシャルのチェックを受けると「ガタツキもないしOK。走っていいですよ」とのお墨付き。

か、完走できるかも・・・?
ただ流石にこの時点ではまだ疑心暗鬼で、またもや人柱としてオイラがもう一度走ってみることに。

んんー、右コーナーでちょっとガタゴト言うけど、まぁ問題ないレベル。
こ、これはイケるかも!!すっげーーーー。改めてS氏のレース屋根性に脱帽。

この時、残り3時間。まだ乗っていない残り4人のドライバーに引き継ぎ、
あとはひたすら完走することを願う。

そして時間は20時9分、ホームストレートをゴルフが通過した後でチェッカーが出る。
無線で「これが最終ラップ!!」と連絡。
ドライバーのW氏も無線越しに泣いてるのが分かる。
「大事に持って帰るからなー」

この時にゃ自分ももう気分が高揚して、ちょっとウルウルしてみたり。

無線で「今、V字コーナー」「ダウンヒル通過中」「シケインに入った」と逐一連絡が入り、
ホームストレートに戻ってきて、ゴルフの姿が見えたとき。
そして自分達の前を通り過ぎ、チェッカーを受けたとき。

泣いた

もう誰もがダメだ、と思ってたのに奇跡の「完走」。
これを奇跡と呼ばずに何と呼ぶ。

「諦めちゃだめ」使い古された言葉だけど、今日ほどこの言葉を実感した日は無かった。

本当に激動の、感動の12時間耐久でした。

よし!来年も完走めざしてやるぞーー!!




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