映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「ミッション:8ミニッツ」

2011年11月02日 | 映画(ま行)
繰り返される8分のミッション



         ***************

シカゴで、乗客全員死亡という列車の爆破事件が起こります。
米軍のスティーブンスが事故犠牲者の事件8分前の意識に入り込み、
犯人を見つけ出そうとする、極秘ミッションのストーリーです。
8分足らずではなかなか思うようにならず、
爆破が起こり、また8分前に戻る、
ということが何度も繰り返されていきます。
しかし、彼の起こす行動により微妙に列車内の様相が変わってくる。
彼はどのように犯人を捜し出すことができるのだろうか・・・?



そのこともさることながら、自分の意識の戻った時の彼の状況が非常に気になってきます。
何かのカプセルのようなものに、閉じ込められている。
その場も、何か非常に危機的な感じがするのだけれど・・・。
外からの指令がパネルの映像と音で伝わるのみ。
いわば仮想の事故現場と現実に迫る謎の危機。
この二本立てで、いやがおうにも緊張感は高まっていきます。
この絶えず迫りくる危機感のシチュエーションがいいですね。
いきなりわけも分からず、ほおり込まれたこの状況で、
焦りまくり、けれども、任務をやり遂げようとする必死の男が、よく描かれていました。
彼がしきりに彼の父親と連絡を取りたがっていた訳も、最後に明かされます。



この作品のいいところは、
単にその危機的シチュエーションに甘えることなく、
人々の感情が細やかに描かれていたところ。
初めは誰もかれもが怪しいのですが、何度も繰り返すそのシーンの中で、
各々の人となりが見えてきて、そうすると、彼らを守りたくなるのもわかるんですよね。
ヒューマンなSF。
にもかかわらず、映像はあくまでもスタイリッシュです。
人の意識に入り込む、これはタイムトラベルとは少し違うのですが、
なんだかわかったようなわからないような
…こういう一種不思議なSF的感覚は嫌いではありません。
「月に囚われた男」のダンカン・ジョーンズ監督。
今後も楽しみです。

2011年/アメリカ/94分
監督:ダンカン・ジョーンズ
脚本:ベン・リプリー
出演:ジェイク・ギレンホール、ミシェル・モナハン、ベラ・ファーミカ、ジェフリー・ライト


最新の画像もっと見る

コメントを投稿