映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命

2013年06月01日 | 映画(は行)
血の連鎖と因縁



            * * * * * * * * *

サーカスでモーターバイクショーをしているルーク(ライアン・ゴズリング)。
彼はかつての恋人ロミーナに息子ジェイソンが生まれていることを知ります。



「なぜ知らせてくれなかったんだ」と問うルークに、
ロミーナは「だって、突然いなくなったきり、音信不通だったじゃない」
・・・ルークはそういう風来坊的生活をしてきたわけですね。
しかし、ここで突然家族愛に目覚め、ロミーナと息子を養う決心をする。
これを機会に自分自身の生活を立て直したいと
強く思ったのでしょうね。



・・・しかしその方法が間違っていますよ。
銀行強盗で稼ごうだなんて・・・。
始めは確かにうまくいきました。
そこでやめておけばいいものを、何度も繰り返すうちに
ついに警察に追い詰められ・・・。



ライアン・ゴズリングをもっと見ていたかった
という思いも虚しく、主役交代。
ルークを追い詰めたのは新米警官のエイヴリー(ブラッドリー・クーパー)。
勇猛果敢とは言いがたい人物ですが、
行きがかり上警察署内の汚職を暴くという立場になる。
署内の倫理の乱れも確かによろしくはないのですが、
エイヴリーのやり方にはどうにも共感できない。
それはただ自分の保身のための裏切りであるからです。
・・・が、そういう真の人物像とは裏腹に、
町の人々からは尊敬すべき人物と見られ、地位を築き上げていく。


さてさて、それから瞬く間に時は過ぎ15年。
ルークの息子ジェイソンとエイヴリーの息子AJは同い年。
同じ高校で出会うことになります。


父親と息子。
血の連鎖と因縁。
いやいや、そっちの方へ行ってはだめだよ・・・と思う方へ
吸い寄せられるように行ってしまうというのが、
やはり“宿命”なのですね。
彼らの父親の生き様が息子たちのそれに重ね合わされていく。
やはり悲劇は繰り返されるのか・・・? 
最後の最後まで目を離すことができません。
なぜかこの、因縁話のようなストーリー、
私は気に入ってしまいました。



舞台の町の名が「スケネクタデイ」で、
これはモホーク語で「松林の向こう側」という意味だそうです。
それでこの題名というわけですが、
映画のラストで私たちはこのことに思い当たるのです。
“松林の向こう側”には、この重苦しい連鎖を断ち切る新しい世界がありそうな気がします。
だから何だか救われる思いがする。
・・・若さってやっぱりいいですね。

「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」
2012年/アメリカ/141分
監督:デレク・シアンフランス
出演:ライアン・ゴズリング、ブラッドリー・クーパー、エバ・メンデス、ベン・メンデルソーン、ローズ・バーン

宿命度:★★★★★
満足度:★★★★★


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