映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

二重生活

2016年12月24日 | 映画(な行)
理由のない尾行の果てに



* * * * * * * * * *

うーむ。これはなかなか一筋縄ではいかない作品。
何しろテーマは
「なぜ人は存在するのか。何のために生きるのか。」



本作主人公・白石珠(門脇麦)は、大学院哲学科の院生で、
目下この命題の修士論文に取り掛かろうとしています。
担当教授の篠原(リリー・フランキー)に相談すると、
100人にアンケートを取るよりも、
一人だけを対象とし、密かに張り付いて生活や行動を観察したほうがいい、
というのです。
すなわち、「理由のない尾行」。
珠は、近所に住む、裕福でそれなりの地位にあり、美人の妻と子を持つ男性・石坂(長谷川博己)に注目し、
尾行を開始します。
対象者との接触は厳禁。

ところが、珠は石坂の不倫を目の当たりにしてしまうのです。
尾行することのスリル、そして発覚した秘密の重み。
珠は尾行という行為に取り憑かれたようになっていきますが、
そのことは次第に自分自身をも追い詰めてゆくことになる・・・。



なぜ「理由なき尾行」が生きることの意味を探ることになるのか、
そこら辺の「哲学的飛躍」は、私にもよくわからないのですが、
一見幸せ極まりない生活に思えるのに、なぜ不倫し、家庭の破滅へ向かおうとするのか・・・、
誰もがフラフラと迷いながら答えを見つけていくしかないと、
石坂の心に自分を重ねてしまった珠は思ったのかもしれません。



珠は卓也(菅田将暉)と同棲していたのですが、
尾行を始めるようになってからはどうもしっくり行きません。
というよりも、それまでも深く彼を理解し愛そうと思っていたわけではなく、
ただなんとなく共にいただけだったのですね。
ついに卓也は
「俺達は何のために一緒に住んでいるんだ?」
と珠に問います。
確かに、このままでは単にルームシェアと変わらない。
珠のなんとも捉えようのない心のぐちゃぐちゃを、
私たちも共に体験するための作品なのかもしれません。
そして、答えは自分で探してね、と。



それともう一つ本作には別の軸がありまして、
それは教授自身のこと。
彼がこれまで何を拠り所に生きてきたのか、
生きる意味を何に見出そうとしていたのか、
このことは割とわかりやすく描かれています。
まあ、そう難しく考えなくとも、楽しめる作品ではあるかな?

二重生活 [DVD]
門脇麦,長谷川博己,菅田将暉,リリー・フランキー
KADOKAWA / 角川書店


「二重生活」
2015年/日本/126分
監督・脚本:岸善幸
原作:小池真理子
出演:門脇麦、長谷川博己、菅田将暉、リリー・フランキー
哲学度★★★★☆
満足度★★★★☆
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