映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「落陽」朝井まかて

2017年11月12日 | 本(その他)
明治天皇と神宮の森

落陽
朝井 まかて
祥伝社


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明治天皇崩御直後、東京から巻き起こった神宮造営の巨大なうねり。
日本人は何を思い、かくも壮大な事業に挑んだのか?
直木賞作家が、明治神宮創建に迫る書下ろし入魂作!


* * * * * * * * * *

明治天皇崩御の後、その御霊を祀るための明治神宮を造営。
そしてそこに広大な人工の森を作ろうとするプロジェクトが立ち上がりました。
東部タイムスの記者瀬尾は、
同僚の女記者伊東とともにそのことの取材を続けることになります。
伊東は、この巨大なプロジェクト自体に強く興味を持ったのですが、
瀬尾は少し違う。
明治の新時代に否応なく京都からこの東京の地に身を移し、
新政府の中心として据えられた明治天皇の心中に、
瀬尾は触れてみたくなったのです。
天皇の崩御に伴い、ほとんど全国民が悼み喪に服した。
そして、造営にも、民間から十万本に近い献木があった。
人々の天皇に対するこの敬愛の熱意はどこから来るのか。
また、それに対して45年の在位中、
天皇自らのお気持ちはどういうものだあったのか・・・、
それを計り知ろうとするのはおそれ多いことだとは思いつつ、
瀬尾は思いを巡らさずにいられないのです。


明治天皇が、東京へ下ったのは17歳の時。
文明開化で世の中はどんどん変わっていくし、
彼を祭り上げた薩長の者たちも次第に姿を消してゆく。
大きな戦争もあった・・・。
生まれ育った故郷に、帰りたくとも帰れるはずもなし・・・。
明治維新期の色々なドラマはあるけれど、
確かに、明治天皇その人に迫ったものはなかったかもしれません。
本巻冒頭に、戦で荒れ果て、強風に砂塵巻き上がる江戸、
いえ、東京の地をはじめて目にする「青年」の感慨が描写されています。
これこそが明治天皇その人。
なんだか、もっと知りたくなってきますね。


まあ、それはさておき明治神宮。
北海道に住む私でもその名前くらいは知っていますが、
ここの森が、もともと荒れ果てた原野であったところに、
あえて植樹をして森を作ったというのははじめて知りました。
その樹木が育って「完成」するのには150年を要するとされていたそうです。
今でようやく100年位。
まだ森は成長途中ということになりますね。
今度東京に行くことがあったら、ぜひ訪れてみることにします。
明治神宮。


図書館蔵書にて
「落陽」朝井まかて 祥伝社
満足度★★★★☆
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