映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ロブスター

2017年08月09日 | 映画(ら行)
独自の世界観、奇妙な社会



* * * * * * * * * *

うーむ、なんというか、ものすごい独自の世界観が繰り広げられる作品です。
一応近未来(?)が舞台のようですが・・・。



そこでは独り身でいることが法的に禁止されているのです。
独身者は身柄を確保され、ホテルに送り込まれて
45日以内にパートナーを見つけなければ、動物に変えられてしまうのです。
主人公デビッド(コリン・ファレル)は結婚生活を送っていたのですが、
心ならずも独り身となってしまい、このホテルにやってきます。
そこのはじめの面接で
「もしうまく行かなかったら何の動物になりたいか」
と聞かれ、彼は「ロブスター」と答える。
それが本作の題名の由来です。
しかしロブスターになりたいなどと言う人は稀で、大抵は犬などと言うようです。
現に彼の元には彼の「兄」が変わり果てた犬がいたりします。



そこに集められた人々は、助かるためにもっと必死になって
どうでもいいからパートナーとなってしまえばいいのに、と思うのですが
意外とみな淡白というか焦りがなく見受けられるのですね。
思うにこの世界では男女の交わりが非常に希薄なので、
あえて独身をタブーとしているのかもしれない、と想像する次第。
しかもパートナーとなるのに、妙に互いの共通点を気にしたりします。
互いに鼻血が出やすい体質とか、互いに近視だとか・・・。
そういう些細な親近感でもないと、抵抗が大きくて接近できないとでも言うように・・・。
またこの滞在中、独身者を「狩る」ことが義務付けられ、
うまく「狩る」事ができると、動物になる日を延長できるという・・・、
まあ、どうにも理不尽なルールにがんじがらめにされているのです。
そこで、デビッドはこのホテルを脱走し
外の独身者たちの群れに加わるのですが、
そこにはまたそこなりのルールがある。



独特で謎だらけの本作に、
頭の中はクエスチョンマークだらけになってしまうのですが、
しかし、少し考えさせられるところもありますね。
普通に生活を送っているときにはなんとも思わないけれど、
ひとたびその道を踏み外してみるともう元には戻れない。
所詮私たちは奇妙な「ルール」にがんじがらめにされているのかもしれないし、
もしその規範から逃れたとしても、
そこにはまた新たな「ルール」があるだけ。
自分らしくあることは難しい・・・。
それこそ、ロブスターにでもならなければ・・・。


「ロブスター」
2015年/アイルランド・イギリス・ギリシャ・フランス・オランダ・アメリカ/118分
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:コリン・ファレル、レイチェル・ワイズ、レア・セドゥー、ベン・ウィショー、ジョン・C・ライリー
独自路線度★★★★★
満足度★★★☆☆
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