映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

まほろ駅前多田便利軒

2011年05月09日 | 映画(ま行)
“熱血”とか“根性”とかとは対極の二人だけれど



            * * * * * * * *

三浦しをんさん原作の映画化です。
便利屋を営む多田(瑛太)のところに、転がり込んできた元同級生の仰天(松田龍平)。
この便利屋の仕事をする中で、つながっていく人々との交流を描いていきますが、
それは次第にこの二人の内面をも浮かび上がらせ、
そして変わって行くことにつながるのです。
そんな様子を原作のイメージを損なわずに描いてくれました。


行く当てもなさそうな仰天を、仕方なく同居させることにしたのは、
多田には、仰天に一つの負い目があったから。
それにしてもその多田も、さほど仕事熱心というわけでもなさそうだ。
自分のことを棚に上げ、
仰天は多田の突いて欲しくないところを的確に(?)突いたりしますね。
仕事にいつも付いてくる仰天なのですが、
ほとんど見ているだけであんまり役に立っていない。
でも、多田は文句をいうでもなく淡々としている。
おかしな男二人の同居生活。
しかし、こういう雰囲気がしをんさんらしくて、好きなんですよね。

ある少年が
「親が始めからいないのと、いてもずーっと無視されるのと、どっちがましか」
というのです。
親子の関わりなどとうに放棄したかに見えるこの二人。
でも、二人がこんな生活に至るには、
それぞれの「親」や「子」にかかわる心の傷が
大きな位置を占めていることが見えてくる。
熱血とか、根性とか。
そういうものからは対極にある。
感情もあらわではなく、努めてサラサラ。
こんな今風の若者。
でもそれは、胸の奥底の痛みを包み隠すためでもあるのです。
瑛太・松田龍平の起用が実にはまっています。

アニメ「フランダースの犬」。
最終回のワンシーンは、そこを見るだけで私もウルウルしてしまうんですよね。
条件反射とは恐ろしい。
仰天はこれを「ハッピーエンド」だというのです。
さあ、どうなんでしょう?
そう言われればそんな気もしてしまいます。

「なんじゃ、こりゃ~!!」と叫ぶ瑛太に
「それ、誰のまね? ぜんぜん似てないね」と松田龍平。
うーん・・・楽しい!


2011年/日本/123分
監督:大森立嗣
原作:三浦しをん
出演:瑛太、松田龍平、片岡礼子、鈴木杏、本上まなみ


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
観られたんですね! (こに)
2011-05-11 14:07:18
瑛太さんと松田龍平さん
ベストコンビですよね

別の話ですが、大森南朋さんに「ハゲタカ」のような映画を期待したいです
Unknown (たんぽぽ)
2011-05-11 21:14:12
>こにさま
大森南朋さん。私「ハゲタカ」も見ていなくて、個人的には馴染みがうすいです。
でも、確かにステキですよね。
もっとじっくり見てみたい。

コメントを投稿