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「昔話の深層 ユング心理学とグリム童話」河合隼雄

2016年09月15日 | 本(解説)
グレートマザー!

昔話の深層 ユング心理学とグリム童話 (講談社+α文庫)
河合 隼雄
講談社


* * * * * * * * * *

人間の魂、自分の心の奥には何があるのか。
"こころの専門家"の目であのグリム童話を読むと…。
生と死が、親と子が、父と母が、男と女が、そしてもう一人の自分が、
まったく新しい顔を心の内にのぞかせる。
まだまだ未知に満ちた自分の心を知り、
いかに自己実現するかをユング心理学でかみくだいた、人生の処方箋。


* * * * * * * * * *

私たちの無意識の世界には何が潜んでいるのか。
本著はユング心理学をもとに昔話、特にグリム童話を読み解き、
私たちの心の奥底を探っていきます。
最近まともに読み始めたファンタジーの世界を考えるためにも役に立つのではないかと、
この本を読み始めました。
色々と示唆に富んだ内容で、引きこまれてしまいました。


まず、なぜ昔話かということなのですが、
人間の無意識の深層は人類に共通の普遍性を持つのではないかということ。
個人がなんらかの原型的な体験をした時、それが人間の心の普遍性に繋がるものであれば、
多くの人に受け入れられ時代を超えて存在し続ける。
それが昔話なのではないかと言うのです。
そのため、異なった場所に類似の物語があったりする。
ただし、同じ原型的な表象にしても
時代や文化の影響を受けて、それぞれの特徴を有すると言います。


・・・という前置きで、具体的な話になっていくのですが、
始めに「グレートマザー」というところで少し驚きました。
母、すなわち母性は、生命の源泉で守り包み込むようなイメージを私は持っていたのですが、
植物が土から生まれ育ちまた土に還るように、
生だけではなく死をも合わせ持つのです。
産み育てる肯定的な面と、すべてを飲み込んで死に至らしめる否定的な面、
両面を持つのが母性だと。
例えば日本神話のイザナミは、日本の国を生み出した母の神だけれども、
黄泉の国を統治する死の神でもある。
う~む、言われてみれば確かに。
ということで、この否定的面を強く持つ母性が「グレートマザー」であり、
グリム童話などによく出てくる魔女はそれを象徴したもの。
私たちは自立のために「グレートマザー」に打ち勝たなければならないということなのです。
現代も、グレートマザー的母親のために、子供が損なわれている例が多い
・・・というのにはちょっとギクリとさせられますが・・・。


また、男性の心のなかの女性像の原型「アニマ」、
女性の中の男性像の原型「アニムス」のことなどもとても興味深く読みました。
もう少し河合先生の本を読み込んで、
自分の中で噛み砕けるように勉強したい気がしてきました。


「昔話の深層 ユング心理学とグリム童話」河合隼雄 講談社+α文庫
満足度★★★★☆
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