映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

フェンス

2018年01月11日 | 映画(は行)
妻にとって、夫にとってそれぞれの“フェンス”



* * * * * * * * * *

デンゼル・ワシントンの映画監督3作目。
原作は、オーガスト・ウィルソン「フェンス」(戯曲)。
実際に、デンゼル・ワシントンが主演で舞台上演していたのを映画化したものです。
見ていてすぐに気づきましたが、
ほとんど一軒の家が舞台で、やたらセリフが多い。
確かに、舞台劇です。
日本では未公開。


1950年代のピッツバーグ。
トロイ(デンゼル・ワシントン)は、もとプロ野球選手。
けれど、人種差別のため、ほとんど活躍の場を与えられず、野球界を去りましたは。
今はごみ収集員で、妻ローズ(ビオラ・デイビス)と息子を養うのに、
毎日がやっとの生活です。
そんな時、次男コーリーがアメフトのスカウトマンに見い出されるのですが、
トロイの反対のためにコーリーはその道を断念しなければならなくなります。
また、ひたすらトロイを支えてきた妻ローズでしたが、
夫に別の女がいることを知って打ちのめされます・・・。



今は落ちぶれているとは言え、
この家の主としてのトロイの存在は強大なのです。
ローズの願いによってこの家のフェンスを造ることになるのですが、
そのことについて、トロイの友人ボノ(スティーブン・マッキンレー・ヘンダーソン)は
こんなふうにいいます。

「ローズはこの家から誰も出ていってほしくないんだよ。」

家族が共にいることが彼女の願い。
けれども、息子は父親に反発して家を出ていってしまうし、
夫はよそに女を作ってしまう。



一方、トロイにとってのこのフェンスは、紛れもなく自分の力の及ぶ範囲の誇示。
この中にいる者は自分に従わなければならない。
ここが彼にとっての王国なのです。
妻ローズは、自分らしくあることをあきらめても、夫に従う。
このことは日本人にとってはさほど不自然でないような気がします。
特に一昔前の日本ならば・・・。
(今なら離婚という手段は日本でも当たり前になってきていますけれど。)
けれど多分、欧米の人々の間でこのひたすら忍従する妻、
というのには違和感があるのでは?と推察します。
父親が強大な力を持つと同時に、
その家族一人ひとりもまた、「自己」がしっかりした形を持つものだから・・・
だからこそ、息子は耐えきれずに家を出てしまう。
でもローズの有り様はちょっと東洋的なのかもしれない。
日本と欧米の精神風土について、少し考えてしまった作品でした。

フェンス [DVD]
デンゼル・ワシントン,ヴィオラ・デイヴィス,スティーヴン・ヘンダーソン,ジョヴァン・アデポ,ラッセル・ホーンズビー
パラマウント


「フェンス」
2016年/アメリカ/139分
監督:デンゼル・ワシントン
出演:デンゼル・ワシントン、ビオラ・デイビス、スティーブン・マッキンレー・ヘンダーソン、ジョバン・アデポ、ラッセル・ホーンズビー
家族を考える度★★★★☆
満足度★★★☆☆
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