映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「普通の教師が普通に生きる学校 モンスター・ペアレント論を超えて」小野田正利

2014年07月24日 | 本(解説)
どこでボタンの掛け違いをしてしまうのか

普通の教師が“普通に"生きる学校―モンスター・ペアレント論を超えて
小野田 正利
時事通信社


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学校の先生、保護者のみなさん、
「相手が分かってくれない」と思っていませんか? 
全国津々浦々をまわって、先生たちを元気づける講演を行っている、
小野田正利・大阪大教授が、豊富な事例とともにトラブル回避の方法を伝授! 
学校と保護者の間に生じる「トラブル」や「紛争状況」を、どうやって解決していくか。
双方の間の意識の「ずれ」を解消するために、互いに何ができるのか。
本来であれば、子どもの成長をともに喜びとし、目的とする学校と保護者は
どこでボタンの掛け違いをしてしまうのか。
豊富なエピソードを基に、
学校の先生が、生き生きと活躍できる学校環境をつくりあげる秘訣が満載です。


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以前、尾木直樹氏の
バカ親って言うな!-モンスターペアレントの謎 という本を紹介しました。
その頃はマスコミ等でも盛んに
「モンスターペアレント」という言葉が使われていたようですが、
尾木ママはさすがにその風潮を危惧しておられました。
相手を「モンスターペアレント」と呼んでしまったら、
それはもう既に「相容れない」「敵」とみなしてしまっているということで、
どうしたって話し合いの余地がなくなってしまいます。
本作はそうではなく、
もっと保護者の言うことの背景を汲み取り、
穏やかに解決に向かうための秘訣が書かれています。
どちらかと言えば教師向けなのですが、ぜひ保護者の側も読むべきではないかと感じました。
教師が日々どのようなストレスに晒されているか、
そういうことを知っていれば、モノ申す時に多少の配慮もできるのではないかと・・・。


・教師は理屈で説明するが、保護者は思いで行動する。

・教師への不満ではなく「親も不安なのだ」と理解する。

・「隠さない」「うそをつかない」姿勢が、危機管理の鉄則。

・教師の性として、どこか最後は優位のまま終わりたいという感覚がある。
 それが関係して、話がまとまりかけたにも関わらず、
 余計なひとことで事態を振り出しに戻してしまう場合もある。

・学校側が一呼吸おいて
 「主たる訴えはなにか」「怒りの背景に何があるか」
 を探ろうとすると出口が見つかる場合も多い。


非常に具体的な例を上げてわかりやすく解説してあるので、読みやすい。
この本は各校に一冊常備すべきなのかもしれません。
しかし、こんなマニュアルなどなくても、
普通に話し合って理解し合えることが一番なのですけれど。
学校の側も保護者の側も、多忙で様々なストレスを抱え気持ちにゆとりがない
・・・そんな世の中であることが一番の問題なのかも、と思ったりします。

「普通の教師が普通に生きる学校 モンスター・ペアレント論を超えて」
  小野田正利   時事通信社

満足度★★★★☆


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