映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

光をくれた人

2017年06月30日 | 映画(は行)
誰が悪いというわけでもないのに



* * * * * * * * * *

第一次大戦後のオーストラリア。
孤島ヤヌス・ロック。
帰還兵のトム(マイケル・ファスベンダー)は
灯台守として他には誰もいないこの島に赴任します。
やがてイザベル(アリシア・ビカンダー)と結婚し、穏やかで幸せな日々を過ごします。

まもなくイザベルは身籠るのですが、立て続けに流産・死産・・・。
悲嘆に暮れるイザベル。
そんなときに、海岸に男の死体と生後間もない赤ん坊を乗せたボートが流れ着きます。
赤ん坊に心を奪われたイザベルは、本土に知らせようとするトムを説得して止めます。
そして2人は赤ん坊にルーシーと名付け、自分たちの実子として育て始めます。
しかしその後トムは、本土である女性が、
夫と子どもを失い嘆き悲しんでいることを知るのです・・・。



本作、母と子どもの愛情の物語のように見えて、
やはり男女、夫婦の愛情の物語ですね。
トムとイザベルが知り合い、結婚し、互いを尊敬しながら
穏やかに暮らす部分がとても丁寧に描かれています。

妻が夫のヒゲを剃り落とすシーンなどなかなか素晴らしい。
本作がきっかけでマイケル・ファスベンダーとアリシア・ビカンダーが
付き合い始めたというのも納得。
マイケル・ファスベンダー・・・男の色気がありますよねえ・・・



トムは非常に実直な性格。
妻と拾った子をもちろん大切に思い愛していたわけですが、
しかし、子どもを失った実の母親の悲嘆を見過ごすことができなかった。
本当にまだ何もわからない赤ん坊のうちなら良かったけれども、
4歳になった子どもを育ての母親から引き離し、
今日からは私がママよ・・・というのもあまりにも残酷ですよねえ。
そして、4年間大切に育ててきた子供と引き離されたイザベルの悲嘆もまた、
トムの予想以上に大きかったということなのです。
そのことでイザベルはトムを恨むようになりますが・・・。
その恨みをもまるごと引き受けてなおかつイザベルを愛するトム・・・。



実際誰が悪いというわけでもないのに、どうにもならない人々の心・・・。
孤島の美しく寂しい光景が、
人々の悲しみを包み込むような気がします。
切なくも心を魅了する一作。




「光をくれた人」
2016年/アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド/133分
監督:デレク・シアンフランス
出演:マイケル・ファスベンダー、アリシア・ビカンダー、レイチェル・ワイズ、ブライアン・ブラウン、ジャック・トンプソン

切なさ★★★★★
満足度★★★★★
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