映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ヒア アフター

2011年02月22日 | 映画(は行)
生死の狭間のドラマではなく、やはり「生きる」人のすばらしいドラマ



            * * * * * * * *

さて、お待ちかねクリント・イーストウッド監督の新作です!
ヒアアフターというのはつまり、死後の世界、来世のことなんですね?
そう、つまりスピリチュアルがテーマなのだけれど・・・。
ここのところ硫黄島、チェンジリング、グラン・トリノ、インビクタス・・・と
骨太作品が続いていたのに、また、ずいぶんと方向転換・・・?
という気がするけれど・・・。
うん、けれど彼は社会問題を扱っても、決してヒューマニズムとエンタテイメント性を置き去りにしない。
スピリチュアルは、私を含めてちょっと身構えてしまう人も多いと思うのだけれど、
この作品は見終えてみればやっぱりいつものイーストウッドだなあ・・・と思うよ。
あんまりスピリチュアルは気にしないで、見てみるといい。


さて、この冒頭からいきなりスペクタクルシーンで度肝を抜かれました。
南の島の大津波のシーンだね。
まだ記憶に新しい実際にあった大災害だから余計ドギマギしてしまったね。

パリ在住の女性ジャーナリスト、マリーがたまたま訪れていたこの地で、
大津波に巻き込まれ、臨死体験をするんだね。
一方サンフランシスコでは、元霊能者ジョージが自分の能力をもてあましている。
「元」というのは、今も死者との交流が出来ないわけではないけれど、
その能力のために以前自分の生活がすっかりダメになってしまったので、
もう誰かのために死者と話をするのは止めているんだ。
しかしうっかり女性とも親しくも出来ず、孤独で希望のない毎日。
これは才能なんかではない。呪いだ。と彼は言うね。
そして、ロンドン。
双子の兄を事故で亡くした少年マーカス。
彼は兄の死の痛手から立ち直ることが出来ずにいる。
何とか兄と話をしたいと、ネットで霊能者の情報を集めてはみるのだけれど・・・。



パリ、サンフランシスコ、ロンドン。
それぞれの場所に住むこの3者が、まるで運命の糸に導かれるように出会うわけです。
うーん、これぞドラマですよ。
とってつけたように、ではなくて、始めからきちんと計算されてますよね。
なんというか、この作品では死後の世界が本当にあるのかどうか、
それはあまり問題ではないような気がする。
映像でも、ジョージが相手の手に触れたときに、
ほんの一瞬彼らが逢いたいと望む死者の姿が垣間見えるだけで、
それ以上は描写していないよね。
そういう世界にあえて踏み込まないようにしている感じ。
宗教色も全くなし。
そういうところで、うさんくささを払拭しているんだ。

私は少年が心の癒やしを得るシーンなんか、泣けて泣けて・・・。
いつも傍らにいた人が亡くなってしまったときの喪失感。
そういうのが解るから・・・余計にね。
マリーは臨死体験が人生の転機となるし、
ジョージの救いようのない孤独もまた・・・。
これは結局、生死の狭間の物語なんかじゃなくて、
ちゃんと生きてる人のすばらしいドラマなんだよ。
人の感動のツボを知り尽くしているイーストウッド監督の勝利なんだなあ・・・。

「ヒア アフター」
2010年/アメリカ/129分
監督:クリント・イーストウッド
出演:マット・デイモン、ブライス・ダラス・ハワード、ジェイ・モーア、セシル・ドゥ・フランス
『映画・DVD』 ジャンルのランキング
コメント   トラックバック (9)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 遥かなる大地へ | トップ | 「ピスタチオ」 梨木香歩 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

9 トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。
ヒア・アフター  監督/クリント・イーストウッド (西京極 紫の館)
【出演】  マット・デイモン  セシル・ドゥ・フランス  フランキー・マクラレン  ジョージ・マクラレン   【ストーリー】 ジャーナリストのマリーは、東南アジアで津波に飲み込まれ、呼吸が停止した時に不思議な光景を見る。サンフランシスコ―かつて霊能力者と...
「ヒア アフター」 (ここはここ)
映画 「ヒア アフター」 HEREAFTER を観ました       クリント・イーストウッド監督 2010年 アメリカ 死を直接、間接的に経験した三人が、生き方を求めさまよった先に交差する。   最近はイーストウッド監督の映画を観る度に言ってると思いますが、 とて....
ヒア アフター (映画的・絵画的・音楽的)
 『ヒア アフター』を渋谷シネパレスで見てきました。 (1)本作品を監督したクリント・イーストウッド監督の映画は、最近では『インビクタス』や、『チェンジリング』、『グラン・トリノ』を見ているので、この映画も頗る楽しみでした。  本作品は死を巡るものといえま....
『ヒア アフター』 映画レビュー (さも観たかのような映画レビュー)
『 ヒア アフター 』 (2010)  監  督 :クリント・イーストウッドキャスト :マット・デイモン、セシル・ドゥ・フランス、ジェイ・モーア、ブライス・ダラス・ハワード、フランキー・マクラレン、ジ...
『ヒア アフター』  (京の昼寝~♪)
  □作品オフィシャルサイト 「ヒア アフター」 □監督 クリント・イーストウッド       □脚本 ピーター・モーガン   □キャスト マット・デイモン、セシル・ドゥ・フランス、...
「ヒア アフター」(アメリカ 2010年) (三毛猫《sannkeneko》の飼い主の日常)
死を垣間見た女。 死者の声を聞く男。 双子の兄を亡くした少年。
mini review 11541「ヒア アフター」★★★★★★★☆☆☆ (サーカスな日々)
クリント・イーストウッドがメガホンを取り、スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を務めた死と生をめぐる感動的なストーリーをつづるヒューマン・ドラマ。死を身近で体験した3人の登場人物が悩み苦しみ、生と向き合う姿を真摯(しんし)に描いていく。主演は、『イン....
「ヒアアフター」(HEREAFTER) (シネマ・ワンダーランド)
「グラン・トリノ」「ミリオンダラー・ベイビー」「マディソン郡の橋」などの作品で知られる米映画界の大御所、クリント・イーストウッドが死後の世界を題材にメガホンを執ったヒューマン・ドラマ「ヒアアフター」(2010年、米、129分、スティーヴン・スピルバーグ製作...
ヒア アフター (Hereafter) (Subterranean サブタレイニアン)
監督 クリント・イーストウッド 主演 マット・デイモン 2010年 アメリカ映画 129分 ドラマ 採点★★★ “死後の世界”ってのには、常々「あったらいいよなぁ」と思っている私。頭ごなしに否定する気はなし。ただまぁ、「宗教や文化の垣根を越えて、多くの人が似た...