映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「K体掌説」九星鳴

2017年07月16日 | 本(その他)
少し怖くてメルヘンで、ユーモア。そして幽玄。

K体掌説 (文春文庫)
九 星鳴
文藝春秋


* * * * * * * * * *

Kは小噺のK。
Kは簡潔のK。
Kは奇態のK。
つまりKなる体の掌編。
これ即ち、"K体掌説"なり。
21世紀の稲垣足穂か、はたまた星新一か。
ショートショートに驚異の新人現る…。
単行本刊行当時、一体この著者は何者?と評判となった話題作がついに文庫化。
その謎めいた著者の正体がいま明かされる。

* * * * * * * * * *

正体不明の新人作家による短編、
ということで話題になったそうなのですが、
まあ、帯にも一目瞭然でネタバラシしているので、
ばらしてしまいますが、著者は夢枕獏さんです。
一応の定評を得ている「夢枕獏」名義ではなく、
全く無名の新人として書いてみたいというその気持もわからなくはありません。
冒険ですけどね。
でもこうした場合、原稿料も新人並みになってしまうのだそうで・・・。
当人のたっての願いであれば、別にかまわないことのようです。


さて、内容は短編というよりショートショートなので
スルスルと読めてしまいます。
どこかカラッとして不思議。
例えば冒頭「落ちる首」は、夢の話ですが、
月夜に武士が女の首を次々と切り落とすというもの。
ところが、翌朝目を覚ますと庭に椿の花がみな落ちていたという・・・。
鮮やかです。
下手をすると血生臭くなってしまいそうなストーリーが、
ひっそりと幽玄な雰囲気さえ醸している。


少し怖くてメルヘンでユーモアでもあるショートショート。
続きが出たら、やっぱり手に取ってしまいそうです。
あ、ちなみに著者名は「いちじく せいめい」と読みます。

「K体掌説」九星鳴 文春文庫
満足度★★★.5

ジャンル:
小説
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