映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ぼくのおじさん

2017年07月15日 | 映画(は行)
ベストマッチのおじさんと少年



* * * * * * * * * *

「ぼくのおじさん」は北杜夫さんが自分をモデルに書いた小学生向けユーモア小説。
もう何十年も前の作品ですが、
その当時、私も読んだことがあったと思います。
(小学生ではなかったけど。)
まあ、当然内容は覚えていませんでした。
が、しかし、この作品は絶対に面白いはずと確信していました。
なぜって、「おじさん」と「子ども」は、素晴らしく相性が良いことに決まっているので・・・。



「自分の回りにいる大人について」という作文の宿題に悩む雪男(大西利空)は、
我が家に居候しているおじさん(松田龍平)に目をつけました。
ビンボーで怠け者、万年床で、まんが本を甥っ子にねだるしょうもない叔父。
大学の哲学の時間講師をしていますが週に1講のみ。
まあ、一応インテリのようなんですが・・・。
そんなおじさんに見合い話があり、日系4世のエリー(真木よう子)と知り合います。
おじさんは一目惚れしてしまったのですが、
彼女は祖母が経営していたコーヒー農園を次ぐためにハワイへ帰ってしまったのです。
エリーに会いたい一心で、ハワイ行きを目指しておじさんが立てた作戦とは・・・?



こういう「ダメなおじさん」というのは色々な物語に時々登場します。
たいてい学生か定職についていないかで、
お金がなくて、もちろん独身、彼女なし。
で、親や兄弟からは
「いつまでフラフラしているんだか、困ったもんだ・・・」
と常に言われている。
こういう人物と、子どもというのが非常にウマが合うのです。
親は、子どもには常に正しく真っ直ぐであって欲しいと思うので、
自分の「教育的側面」しか(なるべく)見せません。
おじさんは、そこまでの責任がないので、どんな面も見せてしまいます。
子どもはそこで「真実」を学んでいく。
また時にはおじさんの「ダメ」さが反面教師になったりもして。



本作は、おじさんの必死の計画も撃沈し、
別のきっかけでハワイ行きが決定するというところがいいですよね。
ビートルズのチケットを手に入れたい一心で、
必死でハミガキ粉を買っていた誰かと重なります。



ハワイのシーンも、あの美しいビーチでゴロゴロするようなシーンはなく、
パールハーバーを見渡すシーンがあったり、
日系人達の苦労を偲ばせるところがあったりするのがステキでした。


何にしても、この「おじさん」に松田龍平さんを充てたのが、大正解でした。
何を考えてるのかよくわからない飄々とした感じ。
でも実はちゃんと考えてる?
いや、そうそれはこちらの考え過ぎ?
・・・という微妙な雰囲気。
GOODです。


ただ一つ残念だったのは、原作の「会話文」にこだわったためでしょうか。
なんだか言い回しが古めかしいというか若干違和感を覚えました。
しかも今時の子どもに「雪男」はないですよね・・・。
そこを変えたら原作無視になってしまうから遠慮したのかしらん?
無理なく、現在の作品にしてしまっても良かったように思います。

ぼくのおじさん [DVD]
松田龍平,真木よう子,大西利空(子役),戸次重幸,寺島しのぶ
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)


「ぼくのおじさん」
2016年/日本/山下敦弘
原作:北杜夫
出演:松田龍平、真木よう子、大西利空、寺島しのぶ、宮藤官九郎、戸次重幸

ユーモア度★★★★☆
満足度★★★★☆
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