映画と本の『たんぽぽ館』

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怒り

2016年10月08日 | 映画(あ行)
信じないことの痛み、信じてしまったことの痛み



* * * * * * * * * *

吉田修一さん原作の本作。
吉田修一作品は、見る前に多少の覚悟が必要ですね。
寝ぼけまなこでのほほんとは見られない・・・。


ある残忍な殺人事件があり、
犯人は殺人現場に「怒」という文字を残し、顔を整形して逃げ延びていたのです。
その一年後、千葉、東京、沖縄にそれぞれ前歴不詳な謎めいた男が現れます。
3つの場所の事柄は互いにつながりはなく、
場面が入れ替わりながらそれぞれの話が進行していきます。
つまり、この中の誰かが犯人。

この犯人の似顔絵が、この3人にどことなく似ていることから、
周囲の人々が疑念を抱いていくのです。
この3人というのが、松山ケンイチ、綾野剛、森山未來です。

確かに似顔絵が松山ケンイチさんと綾野剛さんを足して2で割ったような感じ。
特に似ている二人でもないですのにね。
上手くできていました・・・。
森山未來さんにはあまり似ている感じはしなかった・・・。



さて、本作は人を信じること、信じないこと。
どちらにしてもそれは想像もしない形で自分に返ってくることがある。
・・そういう物語です。
通常は、人から信じてもらえないときに、その本人が痛みを感じます。
けれども本作は、特に、人を信じられない側の、
身をえぐられるような痛みが、痛切に胸に響きました。
また、信じる信じないの境目といいますか、心のメーターをゆらすものは、
ほんの些細なことなんですね。
自分ではそんなことがあるはずがない、と思っていながらも、
身近な人のほんの一言から急に疑惑が深まってみたり。
私たちの心は、自分自身が思っているよりもずっと揺れやすく脆いのかもしれない。
そしてまた、どんなにいい人そうでも、その心の奥底はわからないもの・・・。
そういう怖さもまた、確かにあります。
うかつに信じてはいけない、と。
その判断基準さえ曖昧なのだから、本当に困ってしまう・・・。



でも、そうではあるけれど、やっぱりまず信じるところからはじめよう・・・と、
本作の最後には言っているようにも思いました。


ところで、この題名「怒り」は、私の感想とは全然別のところに焦点がありますね。
犯人の動機を表しているのが“怒り”。
それは、わからなくはないけれど、本作に関して言えば、
やっぱり中心のテーマからはそれている気がしてしまう私でした。
原作を読んでみればはっきりするかもしれません。


ゲイのカップルに妻夫木聡さんと綾野剛さんという取り合わせにビビリますが、
捨てられた子犬みたいな綾野剛さんは、良かった・・・。


「怒り」
2016年/日本/142分
監督・脚本:李相日
原作:吉田修一
出演:渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、宮崎あおい、妻夫木聡
疑惑度★★★★★
満足度★★★★☆
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