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「ポーの一族 春の夢」萩尾望都

2017年07月29日 | コミックス
何のために彼らは“在る”のか・・・

ポーの一族 ~春の夢~ (フラワーコミックススペシャル)
萩尾 望都
小学館


* * * * * * * * * *

名作「ポーの一族」40年ぶりの新作続編!
不朽の名作「ポーの一族」から40年。
ついに新作の続編がコミックスに!!
永遠の時を生きるバンパネラ(吸血鬼)であるエドガーとアランは、
1940年代戦火のヨーロッパ、
イギリス郊外でナチスドイツから逃れてきたドイツ人姉弟と出逢う・・・
そしてその出逢いが新たな運命の歯車をまわすーーー

* * * * * * * * * *

本巻の発売前に、私は予習として久々に「ポーの一族」を読み直していました。
40年ぶりの新作・・・。
まさか今頃になってエドガーやアランと再開できるとは。
私の持っている本はもうすっかり紙も変色して黄ばんでおり、
いかにも年代物です。
でも、これだけは絶対に捨てることはおろか、
BOOK OFFに売り飛ばすなどとは思いもせず、
ずっと手元においてありました。


さて本巻、時代は第二次大戦中のイギリス。
作中では戦火の描写はありませんが、
私はちょうどこの時コニー・ウィリスの「ブラックアウト」を読んでいて、
まさに時代が重なりました!!
本作に登場するブランカという少女はユダヤ人で、
ドイツから難を逃れてイギリスにやってきていたのです。
その少女がエドガー、アランと出会う。


本作は、これまでの「ポーの一族」の中のほんの一つのエピソードなどではありません。
バンパネラという謎の生き物、いえ、生き物ではないですね、
謎の"存在"の秘密にも少し触れながら、
また新たな仲間を得て今後につながっていく、
全体の中でも根幹的なパーツです。


"バンパネラ"にも、各国いろいろな系統があるようで、
今回登場するファルカはスラヴ系で800年も生きているらしい・・。
そして、超能力的な力を持ち合わせてもいて、なかなか心強いやつです。
しかしそんな彼もまた、時にその800年前の心の傷が今もまだうずくというあたり・・・、
不老不死の残酷さが浮かび上がる気がします。


それからちょっとショッキングなシーンが。
エドガーが怖い顔したオバサンに陵辱されている・・・(ToT)
いえ、陵辱という言葉は言い過ぎで、
気(エネジ―)を与えていたのですが・・・。
不老不死とはいえ、バンパネラもきちんとエネジーを補給しないと、
次第に劣化していくもののようです。
キング・ポーの血を引くエドガーは、
仲間たちに時々自身のエネジーを分け与える義務を課されているのです。
孤独ではあるけれど自由・・・そう思っていた彼らの生活ですが、
人の世のしがらみ以上の制約、不自由さ。
一体何のために彼らは"在る"のか・・・。


私、ポーの一族の新作と聞いたときには、
この“現在”を生きるエドガーを想像してしまいました。
もし今もなお、エドガーがいるとしたら、どんなでしょう。
こんな風にSNSが張り巡らされたなかで、
彼らが生きていくことは可能だろうか・・・?
古い伝説やロマン、そうしたものと、このICTの発達した現代は融和できるのか、
そんなところを見てみたかったのです。


萩尾望都さま、次にはぜひそういうストーリーを・・・。

「ポーの一族 春の夢」萩尾望都 フラワーコミックススペシャル
満足度★★★★★
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