映画と本の『たんぽぽ館』

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未来を花束にして

2017年01月30日 | 映画(ま行)
信念を貫くことの重み



* * * * * * * * * *

1912年ロンドン。
モード(キャリー・マリガン)は洗濯工場で働き、夫・息子と暮らしています。
ある日、女性参政権運動に参加している同僚に誘われるまま公聴会へ行き、
証言する機会を得ます。

「母もこの工場で働いており、自分も赤ん坊の時からそこで過ごした。
賃金は安く、工場の環境は劣悪で、働く女は皆短命・・・。」

彼女は話しているうちに、こんなふうに一生洗濯女でいるしかない現実に気づき、
そして、でも、今とは異なる生き方もあるのではないか、
と思うようになります。

更に彼女はWSPU(女性社会政治同盟)リーダーの
エメリン・パンクハースト(メリル・ストリープ)の演説に感銘し、
運動にのめり込んでいきます。

モードはデモに参加し、ついには逮捕され、
夫(ベン・ウィショー)から家を追い出され、息子に合うことも禁じられてしまうのです。
それでも彼女は諦めない・・・。



これがつい100年ほど前の出来事なんですね。
今や当たり前すぎてありがたいとも思わない私たち女性の選挙権。
しかし、そのためにこんな苦しい戦いがあったとは・・・!
英国ではこのストーリーより50年ほど前から
「女性参政権」を訴える活動はあったようなのです。
しかし、あまりにもおとなしい活動だったため、男たちには聞き流されるのみ。
何しろこの制度のためには法を変えなければならないわけですが、
女性に参政権がない以上、法律はすべて男性が握っている。
彼らは「女なんかに政治がわかるか。口を出されてたまるか。」と思っているので、
はじめから真剣に制度を変えようなどとは思わない。
そういう難しさがあるわけです。
しかも、本作でも見られるように、当の女性の殆どは、無関心。
そしてこの時期、
このままのやり方ではダメだとしびれを切らした推進派の女性たちは
ついに、暴動を起こします。
ショーウィンドウを割ったり、ポストを爆破したり、電線を切ったり・・・。
人に危害を加えないようにと配慮はしながら・・・。


そのような活動に対して弾圧は厳しく、
モードは公安に行動を監視されたり、何度も収監されたりするのです。
信念を貫き通すことは、時には人生や命をも賭さなければならない。
そうした人々のお陰で今がある。
このことを忘れてはならないですね。


ラスト付近はまるでサスペンス作品のようにハラハラさせられました。
しっかり見せて、そして訴えかける力のある作品です。



ちなみに、日本で女性の選挙権が認められたのは、戦後1945年12月。
戦後の民主化で、棚ぼた式に降りてきた形ですが、
でもそれ以前より女性参政権の運動はあったのです。
大正デモクラシーと呼ばれる時代に、あの平塚雷鳥らによって。
でも、キナ臭い時代になり、戦争が始って、それどころではなくなってしまっていたのですね。
本作は老若を問わず、すべての女性に見てほしいです。
そして、男性はどうでもいいから(!)女性は絶対に選挙を棄権しないようにしましょう。
そうしたら、もしかして世の中はもう少し変わるかも・・・ですよ。
本当に、本作を見たら簡単に棄権なんかできません。


「未来を花束にして」
2015年/イギリス/106分
監督:サラ・ガブロン
出演:キャリー・マリガン、ヘレナ・ボナム・カーター、ブレンダン・グリーソン、アンヌ=マリー・ダフ、ベン・ウィショー、メリル・ストリープ

歴史発掘度★★★★★
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2 コメント

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本当に (こに)
2017-01-31 08:03:47
棄権なんてとんでもないことですね。
忘れてはいけない史実です。

トラバお願いします。
Unknown (たんぽぽ)
2017-01-31 19:40:48
>こにさま
トランプ大統領の選挙時の男女得票差はどれくらいだったのだろう、などと変なことが気になってしまった私。
ほんと、選挙ってばかにならない。本当に真剣に考えて投票しなければ・・・。

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