映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

エル ELLE

2017年08月28日 | 映画(あ行)
バイオレンスと陶酔



* * * * * * * * * *

ゲーム会社のCEOミシェル(イザベル・ユペール)は、
ある日、自宅に侵入してきた覆面男に暴行を受けてしまいます。
しかし彼女は警察にも届けず、
犯人は身近にいる誰かと見当をつけ、自分でその正体を突き止めようとします。



ミシェルは夫とは離婚し、目下一人暮らし。
自分を暴行した相手と思しきは、
会社の部下の男、同僚の夫、別れた夫、隣家の男・・・
誰もが怪しいけれど、この答えは最後の最後までとっておいたりせず、
中盤であっさりわかってしまいます。
ところが、その男との関係性が意外な展開を見せていく。



つまり本作、その犯人を突き止めるまでのミステリではなく、
ミシェル自身の物語。
私たちは、何やらしたたかで貪欲な彼女に、魅入られたようになってしまいます。
ミシェルの父は過去に凶悪な事件を起こしており、
そのことがトラウマとなってミシェルの人格形成に暗い影を落としている・・・と、
そうしたことも次第にわかってきます。



どうやら私たちは心の奥底に暴力性や性衝動を隠し持っているらしい・・・。
そうでなければ本作なども、
「何このいかがわしさ。もう二度と見たくない。」と切り捨ててしまうのではないでしょうか。
だけれども、何故か惹きつけられて止まないのは、
どこか私にも彼女と同質のものがある・・・ということなのだろうなあ。
そんなことを目の前に突きつけられるようで、
ちょっと怖い作品でもあります。



イザベル・ユペールの汚れ役というのも珍しいですが、
珍しいを通り越した存在感、さすがでした。
しかしこんな強権的な母に育てられると、息子はダメになる・・・。
そんなものかもしれませんね。

<シアターキノにて>

「エル ELLE」
2016年/フランス/131分
監督:ポール・バーホーベン
原作;フィリップ・ディジャン
出演:イザベル・ユペール、ローラン・ラフィット、アンヌ・コンシニ、シャルル・ベルリング、ビルジニー・エフィラ

バイオレンス度★★★★☆
エロチック度★★★★☆
満足度★★★★☆
『映画・DVD』 ジャンルのランキング
コメント (2)   トラックバック (10)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 歌声にのった少年 | トップ | 「街道をゆく38/オホーツク... »
最近の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
限定後悔 (もののはじめのiina)
2017-09-14 10:50:37
本作を封切る映画館は、よく行くシネコンでは上映してなかったですが、北海道で見れてよかったですね。

家に押し入るポスターのシーンが、とくに印象的でした。

主人公ミシェルの父の事件は、人格形成に暗い影を落とすでしょうね。


Unknown (たんぽぽ)
2017-09-14 20:01:25
>iinaさま
札幌のシアターキノは、映画ファンの心強い味方です(^^)
心の底に、ぐっさりと刺さりこんでくるような気のする作品でした・・・。

コメントを投稿

映画(あ行)」カテゴリの最新記事

10 トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。
エル ELLE (映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ~)
評価:★★★【3点】(00) このヒロイン、少女時代のトラウマから何かしらの精神疾患に
『エル ELLE』 (こねたみっくす)
犯人探しが目的ではない。性欲を満たすことも目的ではない。ただ歪んだ彼女を受け入れることが目的なのだ。 さすがポール・ヴァーホーヴェン監督作品だと称賛する前に、さすがイ......
[映画『エル ELLE』を観た] (『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭)
映画の日なので、「スキップ・トレース」に続いて、2本目を観るのだ!☆・・・ちまたで評価の高いポール・ヴァーホーベン監督作品! これが観たいから、いちいち、そこでしかや......
エル ELLE / Elle (勝手に映画評)
社会的にも成功した女性が、ある日、自宅で男に襲われるが、なぜか警察に届けようとしない。女性が警察に届けようとしないのには、理由があった・・・。 中々複雑な人間関係です......
エル(ELLE) (映画的・絵画的・音楽的)
 『エル ELLE』を渋谷シネパレスで見ました。 (1)主演のイザベル・ユペールがこの作品で様々な賞を受けているとのことなので、映画館に行ってきました。  本作(注1)の冒頭の舞......
エル (もののはじめblog)
(原題:ELLE, フランス語で「彼女」を意味する) サスペンスとして評判が高いというので、公開初日8月25日に観てきた。 近くの映画館では公開してないため、ららぽーと横浜まで車......
「ELLE」 (ここなつ映画レビュー)
イザベル・ユペールが凄い。どう凄いかというと、どうもこうもなく凄い。それでは身も蓋も無いのでこう言おう。強い女…だがしかし常に芯の部分では孤独にしか生きられなかった、......
「エル ELLE」☆正しい隣人の愛し方 (ノルウェー暮らし・イン・原宿)
原作が凄いのか、監督が凄いのか、女優が凄いのか… 確かに言えるのは、フランス映画なのが成功のカギだったことと、このミシェルを演じたイザベル・ユベールの醸し出す雰囲気が......
エル ELLE (ネタバレ映画館)
ココアのバンホーテンと間違えやすい
エル ELLE (あーうぃ だにぇっと)
エル ELLE@有楽町朝日ホール