映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

彼らが本気で編むときは、

2017年03月07日 | 映画(か行)
108個の煩悩



* * * * * * * * * *

母が新しい男の元へ行ってしまい、
やむなく叔父(母の弟)マキオ(桐谷健太)の元へ身を寄せることになった11歳トモ(柿原りんか)。
トモはマキオから一緒に暮らしているリンコ(生田斗真)を紹介されます。
リンコはトランスジェンダー。
心は女なのに男の体で生まれてきてしまった。
今は手術を受けて、胸もあるけれど・・・
なにしろ体は大きいし、ぱっとみたところはやはり男性に近い。
トモは始めのうち少し気味悪く思ってしまうのです。
けれど間もなくわかってくるのは、リンコの心からの気遣いや優しさ。
育児放棄の実の母よりもよほど母親らしく、トモを包み込み見守ってくれます。



本作は、トモという子どもの目線で語られているので、
極端な偏見はなくて、本当のことをスッと受け入れる柔軟性がある、
だから心地よいのでしょう。
中でも、リンコが一生懸命編んでいるもの(煩悩)の意味がいい。
108個それを作って燃やして供養しよう、
その気持に共感し、トモもマキオも編み物を始めます。



世間の偏見に耐え、辛い思いをして手術に耐え、
ようやく女性の体を手に入れたとしても、やはり子どもを作ることはできません。
それなのに、はじめから女に生まれた人が、
子どもを産んでも、無関心で育児放棄してしまう、
そんなことがリンコには耐えられないのです。
だからリンコは、もしマキオと結婚できたら、トモを引き取ろうと、
そこまでの決意を持っているのですが・・・。


この桐谷健太さん演じるマキオも素晴らしいヤツなんだなあ・・・。
彼は介護施設で働くリンコの様子を見て、彼女を好きになったのです。
「男とか女とか、そんなことはどうでも良かった」と。
テレビや映画でトランスジェンダーのことは色々見聞きしますが、
実際にはまだまだ世間の目は偏見に満ちています。
そんな中でこんな風に言い切る人、なんてカッコイイ!!



作中で、「子供の養育にふさわしくない家庭」だとして、
彼らのことを児童相談所に通報する人が現れます。
いやいや、いまどきこんなきちんとした家庭がどこにあるのかと言いたいくらい。
家の中はしっかり片付いており、保護者二人はしっかりとした職についている。
調査員も、これでは文句のつけようがない。
そんなことでチョッピリ溜飲が下がるわけですが。


生田斗真さんの編み物をする指がステキです。
私、指のきれいな男性が好きなんですよね―。
細く長くて、繊細そうな指が・・・。
で、その指フェチ的観点からすると彼の指は最高点に近い。
眼福、眼福。



荻上直子監督作品、久しぶりでしたが、
今までの中では一番良かったように思いました。

「彼らが本気で編むときは、」
2017年/日本/127分
監督・脚本:荻上直子
出演:生田斗真、桐谷健太、柿原りんか、ミムラ、小池栄子
社会問題提起度★★★★☆
満足度★★★★★
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