映画と本の『たんぽぽ館』

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パッセンジャー

2017年03月30日 | 映画(は行)
SF仕立てのラブストーリー



* * * * * * * * * *

アメリカのコミックヒーロー物にはすっかり懲りている私ですが、
まだSF作品には期待を寄せているのです。
本作も楽しみに拝見しました。



20XX年。
乗客5000人を乗せた宇宙船が、新たな居住惑星を目指しています。
その星までは120年を要するので、
運行スタッフも乗客もみな冬眠装置で眠りについています。
宇宙船はすべて自動で運行されているのです。
ところが、冬眠装置の異常で、惑星到着予定の90年も早く目覚めたものがいました。
エンジニアのジム(クリス・プラット)と
作家のオーロラ(ジェニファー・ローレンス)の二人。
船内の冬眠装置では改めて眠りにつくことができません。
広大な宇宙船内にたった二人きり。
彼らは命尽きるまで目的地につくこともなく、
長い孤独の時を過ごさなければならないのでしょうか・・・? 
しかしそんな中でも、船内装置の異常作動が次第に頻繁に起こるようになってきます・・・。



う~ん、ネタバラシはまずいのでしょうか。
ジムが目を覚ましたのは確かに装置の異常。
けれども、オーロラが目覚めたのは別の理由からだったのです。
そのことがせっかく接近した二人の心をまた離すことになってしまいます。
つまりは本作、壮大な宇宙を背景としながら、
結局ラブストーリーなのでした。
そりゃ、男女二人っきりしかいないところで、そうならないほうがウソですよね。
そもそも彼女の名前がオーロラというのが「眠れる森の美女」を意識しているわけですから。
ま、変な宇宙人が出てこないだけマシか・・・。



でも宇宙船内の様子をとても興味深く見ました。
部屋や食べ物、すべてがしっかり運賃のクラス別で分けられていたり、
プールがあったり。
このプールの無重力状態のシーンがすごかった・・・。
あんなに大量の水でもや無重力下ではやはり球になるのか。
ゲームのゾーンがあったり、宇宙遊泳を体験することもできる。
冬眠している人々は到着の数ヶ月前に目覚めることになっているので、
5000名がしばらく過ごせるような設備が整っているわけです。
宇宙船内の掃除ロボットたちがなんだか可愛いかったし、
上半身人間そっくりのアンドロイドのバーテンダーがいたりする。
言葉の受け答えは素晴らしいのですが、でもやはりロボットはロボットでしかない、
ということも露呈しますけれど・・・。



ラストシーンが、ちょっと感動的ではあるのですが、そこをもっと盛り上げてほしかったと思います。
私ならいっそ、そのシーンを一番初めに持ってきますね。
120年の時を経て、宇宙船クルーが冬眠から覚めると、
船内の様子が全く変わり果てている。
一体なぜこんなことに・・・?
ふと見ると、クルーに向けたメッセージが残されており、
そのメッセージが、ジムの目覚めのシーンとオーバーラップしていくのです・・・
どうでしょう・・・?

「パッセンジャー」
2016年/アメリカ/116分
監督:モルテン・ティルドゥム
出演:ジェニファー・ローレンス、クリス・プラット、マイケル・シーン、ローレンス・フィッシュバーン
孤独度★★★☆☆
ロマンス度★★★☆☆
満足度★★★☆☆


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