映画と本の『たんぽぽ館』

映画と図書のお気楽な感想・雑感をお届けする『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何を見ましょうか?

「ジャージの二人」 長嶋 有

2008-07-19 21:04:15 | 本(その他)

「ジャージの二人」 長嶋 有 集英社文庫

これは映画化されているのですが、先に読んでしまいました。
北軽井沢の山荘・・・といえばかっこいいですが、ものすごいボロ家。
そこに、一応避暑に出かけた、父と息子。
この二人の物語。
いえ、物語というほどの大きな出来事もないのですが、淡々と日常を語ります。
父はカメラマン。
今は3度目の結婚相手と暮らしていて、娘は中学生。
息子は、小説家志望。
定職にはついていない。妻には他に好きな男がいることを知っている。

この二人は山荘にきても、かび臭い布団を干したりお風呂を沸かしたりするくらいで、単にだらだら過ごすだけ。
祖母が残した、どこかからもらった大量の古着のなかから、
小学生用と思われるダサいジャージを見つけてそれぞれ着用。
お互いの家族から離れて、二人の男がただただ無為に過ごすこの小説は、
しかしなぜか、ぜんぜん退屈ではなく、面白く読めてしまいました。

二人の会話も、ぽつぽつとたまにしかないのですが、
そのあたりが本当に日常っぽいのです。
そのような、退屈な日常の中で、東京の妻を思い、また男とあっているのではないかと心は乱れ、・・・。
ああ、あるなあ、そんな感じ。
心に引っかかることはあるけれど、でも、日常はだらだら平和に流れていく。
無為。
でも、なんだか、そんな意味のない時の流れが、
ほんのちょっぴり、気持ちを癒していくような気がします。
こんな時間も、時には大切かな。
そんな時は一人ではちょっと寂しいし、気を使わない家族と一緒がいい。
でも、完全に何もしないで、人が作るご飯を食べるだけ、というのではなく、
とにかく自分で何か作って、面倒ならコンビニでお弁当を買って、
布団を干して、お風呂のまきを割って・・・、
最低限「生活」しているところがなんだか、いいんだなあ・・・。
これがリゾート地のバカンスだったら、怒るよ。

この本の後半は、「ジャージの三人」になっていて、始めの話から1年後の夏。
息子の妻が、まず来て、帰り、
その次には、父の中学生の娘が来ます。
彼女らも、ジャージを着るのですが、こちらはバーゲンとはいえきちんとしたブランドもの。
女性が入ると、それなりに華やぎますな。

それにしても、この家、アシナガグモやら、カマドウマやら、虫がわさわさ出てきまして、私は、住めそうにありません・・・。

満足度★★★★

ジャンル:
小説
キーワード
ジャージの二人 アシナガグモ 集英社文庫 リゾート地
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2 コメント

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Unknown (みらくる)
2008-07-24 13:17:39
たんぽぽさん、初めまして。こんにちは。

私は長嶋有さんの小説を今年に入ってから読み始めたのですが、自分に合っていたようで文庫になっている作品は全部読んでしまいました。
そんな中でもこの『ジャージの二人』は1番好きな作品です。
たんぽぽさんもおっしゃっているように何でもない日常の姿が描かれているだけなのに、何故だか全然退屈とは思いませんでした。

でも、私も虫がたくさん出てくる山荘では暮らせそうもありません

たんぽぽさんは映画もたくさんご覧になっているのですね。私も本も映画も好きなのでまた遊びに来ます!
はじめまして。 (たんぽぽ)
2008-07-24 20:42:56
>みらくる さま
こんにちは。コメントありがとうございます。
長嶋有さんは、私はまだあまり読んでいないのですが、いい感じですよね。
どちらかというと、映画つながりで読んでみました。たいてい、本のあとに映画を見ると失望することが多いのですが、そもそも、シンプルなストーリーなので悪くなさそうな気もします。
どうぞ、またいらして下さい。
私も、お邪魔します!

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長嶋有 「ジャージの二人」 (ゼロから)
同居しているが、疎遠な夫婦。堂々と浮気をするならとっとと別れればいいものをずるずると過ごしているから精神的にも良くない。

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