映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

怪物はささやく

2018年02月19日 | 映画(か行)

少年コナーの心に眠る物語

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難病の母親と暮らす少年コナー。
裏窓から大きな木のある教会の墓地が見えます。
ある夜、その大木が姿を変えた怪物が現れ、これから3つの物語を語ると言います。
そして、そのあと、4つ目の物語をコナー自身が語るようにと告げるのです。
それは、真実の物語でなければならない、と。

死に向かう母と向き合う少年の心の物語です。
薬が効かず病み衰えていく母。
離婚し、今はアメリカで別の家族と暮らす父。
学校では、いじめられて居場所がない。
母の入院中、祖母の家で暮らさなければならないけれど、祖母とは全く気が合わない。
自分ではどうにもできない不安・恐怖・苛立ち・・・
そんな彼が、実は自分の中の何かと闘い目覚めていこうとしているということなのでしょう。



自分だけに限らず人の心の中には色々複雑なものがあります。
暖かなものもあればほの暗いものもある。
それは決して良いとか悪いとかいうものではなくて、
それら含めたすべてが自分であると受け入れることがまず大切なのだろうなあ・・・。
ちょうど大人と子供の中間点くらいにある少年の
揺れる心を描いた素晴らしい作品です。
ラストに少年と母親の強い絆が感じられ、じわっときます



「物語」を表すアニメーションが素晴らしかった。
この手法で、もっと長編を見てみたいと思いました。

怪物はささやく [DVD]
シガニー・ウィーバー,フェリシティ・ジョーンズ,トビー・ケベル,ルイス・マクドゥーガル,リーアム・ニーソン(声の出演)
ギャガ



<J-COMオンデマンドにて>
「怪物はささやく」
2016年/アメリカ・スペイン/109分
監督:J・A・バヨナ
原作:パトリック・ネス
出演:ルイス・マクドゥーガル、フェリシティ・ジョーンズ、シガニー・ウィーバー、トビー・ケベル、リーアム・ニーソン(声)

物語度★★★★☆

満足度★★★★☆