韓国ではガナリ合いののケンカは日常茶飯事です。
日本人に比べて韓国人の声は大きい。タクシーを停めるときの気合いの入った声を聞くと、彼らが太古のツングースの平原を駆け回った民族の子孫だと納得する。
また東大門や南大門の市場を歩けば必ず聞こえてくるのはアジュンマ同士のガナリ合いのケンカだ。時には屈強の男を相手に烈火の如くまくし立てる。
これが若い者同士ならまれに殴り合いに発展して警察沙汰にもなるが、アジョシ、アジュンマの場合はほとんど大声の罵倒応酬に終始する。
ここで日本人ならほとんど関わり合いを避けて遠目で眺めるか、もしくはさっさと通り過ぎるが、積極的に仲裁に関与するのが韓国人、それも1人や2人ではなく、ケンカの当人たちがそれぞれ数人が囲んでその発端からの経緯を聞く。
聞かれた方はそれを待っていたかのように大袈裟な身振りで自分の正当性と相手の不当性を言い立てる。ギャラリーが時間差で入れ替わるため、当事者は同じことを何度も繰り返すこともある。
そうこうしているうちにギャラリーも少なくなり、平成を取り戻していることが多い。
韓国人のケンカがやけに派手に見える理由は、彼らの大声とともに実に豊富な罵倒のための俗語が揃っていることにもある。その語彙の豊かさには日本人のコピーライターが束になってかかっても敵わない。
