硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

となりのトトロ その後 五月物語。

2013-12-23 08:32:17 | 日記
「ほらほら、いつまでのんびりしてるの。はやくしないと仕事に遅れるわよ !! 」

平日の朝の食卓。のんびりコーヒーを飲んでいるわが娘は相変わらずマイペース。でもさすがに自分の置かれた状況に気付いたようだ。

「やだっ!もうこんな時間。 あかりっ、ママは仕事に行くからきちんとご飯食べなきゃだめよ。」

「は~い。」

「じゃあ母さん、あかりのことよろしくたのむわね。 あ~っ、いけない! 書類忘れた!!」

ジャケットに袖を通しながら慌ただしく部屋へ書類を取りにゆく。こういう所はわが娘ながら本当にそっくりだと感心する。

「あかりちゃんのことはいいから、自分の事しっかりなさい! ほらっ、あなたもっ! いつまでも新聞読んでないで、早くしないとバスに乗り遅れるわよ。」

「はいはい。母さんはせっかちだねぇ。」

「なにをおしゃいますやら。私がお尻を叩かないとなかなか動かないでしょ。はい、お弁当。」

「ありがとう。」

「おとうさん。途中まで車で送ってこうか? 」

「ありがとう。でも父さんはまだ時間があるからバスで行くことにするよ。さて、では、まいりましょうか。」

夫と娘は顔を見合わせると、互いに頷いた。

「では、いってきます。」

「いってらっしゃい。気をつけてね。」

二人を玄関まで見送りし、早足でリビングまで引き返す。

「ふぅ。毎日の事とはいえ大変だわ~。ほらほら、あかりちゃん。お味噌汁がこぼれてるわよ。」

「あ~っ。」

テーブルの上に置いてあるティッシュで、孫娘の服を拭く。

「ほらほら。お洋服が汚れちゃうでしょ。しょうがないわねぇ。」

夫と娘を送り出した後、孫娘の身支度を整え保育園の送迎バスの停留所まで送る。これが私の朝の役割。少し慌しいけれど乗り切った後の達成感や夫や娘や孫が元気でいてくれる事に幸せを感じている。

あかりちゃんを送った後、静かになったリビングで紅茶を入れ、ふわりと立ち上る湯気と香りを楽しみつつそっと口に含む。この瞬間、私は御婆ちゃんやお母さん、妻という肩書から解放され、「わたし」にもどる。

さっきまで夫が読んでいた新聞を手に取りめくってゆくページは、あいかわらず憂鬱な出来事がひしめきあっているけれど、それに比べ、我が家は娘の離婚騒動以後はとても安泰。本当に大変だったなぁと当時の事を想い返しながらページをめくってゆくと、一枚の写真に目が留まった。

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