田中雄二の「映画の王様」

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フィクションの中のダリル・スペンサー

2017-01-04 09:27:53 | 映画いろいろ
1960年代後半、阪急ブレーブスでプレーしたダリル・スペンサーが亡くなった。
ここではフィクションの中のスペンサーを振り返りながら、彼を偲んでみたい。

ジャイアンツ、カージナルス、ドジャース、レッズを経て64年に阪急入りしたスペンサーは、
アグレッシブなプレーとは裏腹に、投手の癖を盗む名人であり、
プレーと理論の両面で、後の阪急黄金時代に多大な影響を与えたという。

 

現役の姿は巨人との日本シリーズで見た程度だが、
漫画『巨人の星』で描かれた68年の日本シリーズで、
“秘密兵器”として星飛雄馬の大リーグボール1号と対決するシーンが強い印象を残した。
何よりスペンサーという名前がいかにも強そうで、子供心にはカッコよく感じられたのだ。
だがスペンサーの現役時代はちょうどV9巨人の前半に当たり、阪急が日本一になることはついになかった。

久しぶりにスペンサーと“再会”したのは、
89年に発売された『新宣言 全日本パ・リーグ党』という本の中に収められた磯イサオの
「俺たちに明後日はない 私立探偵スペンサー」という実に楽しいショートショートでだった。

ロバート・B・パーカーの「私立探偵スペンサー」のパロディである本作では、
スペンサーはニューヨークで私立探偵をしているという設定。
同じく阪急OBで、キューバ出身ながら関西なまりの怪しい英語を話すロベルト・バルボンが助手を務めている。

ある日、元南海ホークスのエースで探偵仲間のジョー・スタンカから連絡が入る。
スタンカが「言いたくない」としながらも、無理矢理スペンサーに言わされる合言葉は、
「円城寺、あれがボールか、秋の空」

これは、61年の巨人対南海の日本シリーズ第4戦の9回裏ツーアウト、
エンディ宮本敏雄に投じたウィニングショットを球審円城寺にボールと判定された挙句、
逆転打を打たれたスタンカの怒りと無念をうたった句だ。

そのスタンカによれば、ある間男を捕まえて女の亭主に引き渡すという仕事らしい。
そして、張り込みを開始したスペンサーとバルボンの前に一人の黒人が現れる。

何とその男は元西武ライオンズのテリー・ウィットフィールドだった…。
テリーといえば、83年、対巨人の日本シリーズ第7戦の7回裏、西本聖から優勝を決める逆転タイムリー二塁打を放った男だ。

だからスペンサーは
「あいつは、俺がどうしてもできなかったことをやってくれたんだ。あのヨミウリを叩きのめしてくれたのよ」
と言ってテリーを見逃してやる。

やがてスペンサーの助手となったテリーは、事務所に恵まれない子供たちを招待する「テリーズ・ボックス」を作って…。
(実際にテリーは西武球場で同じことをした)
という見事な落ちまで付く。

このシリーズは他に、91年の『決定版パ・リーグの本』「紳士はブロンドがお好き」が収められている。
こちらは阪急の身売りを嘆くスペンサーの前に、阪急の二塁手の後輩であるロベルト・マルカーノのゴーストが現れて…というストーリー。

スペンサーの最後のセリフは
「俺はストレートには滅法強かったんだ。ブロンド女には弱いがな」だった。
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