朝、雨がアスファルトに降り注ぐ音を聞いていたら、ふと思い出した。盲学校の高校2年生だったころ、初めて予備校というところに行った時だ。教室には100人くらいの学生がいて、小テストみたいなのがあって、みんながいっせいに字を書き始めた時だ。100人分の鉛筆やらシャーペンの音がまるで雨の音みたいに聞えた。当時、盲学校の僕のいたクラスは6人だった。だから単純に驚いた。帰りの電車から見えた窓の外は、やたらと真っ暗だった。僕はこれからいったいどこまでいくんだろうか、不安がよぎった。それでも、何か広い世界に向って進んでいるということがうれしかった。
夕方に職場を出る時、雨はすっかりあがっていた。
夕方に職場を出る時、雨はすっかりあがっていた。