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書道 直庵(筆耕所)

南樓望<五>


去國三巴遠 登楼万里春 傷心江上客 不是故郷人
盧僎詩 南樓望













高 楼


わかれゆくひとををしむとこよひよりとほきゆめちにわれやまとはん

 


とほきわかれにたへかねて
このたかどのにのぼるかな
かなしむなかれわがあねよ
たびのころもをとゝのへよ
 



わかれといへばむかしより
このひとのよのつねなるを
ながるゝみづをながむれば
ゆめはづかしきなみだかな
 



したへるひとのもとにゆく
きみのうへこそたのしけれ
ふゆやまこえてきみゆかば
なにをひかりのわがみぞや
 



あゝはなとりのいろにつけ
ねにつけわれをおもへかし
けふわかれてはいつかまた
あひみるまでのいのちかも
 



きみがさやけきめのいろも
きみくれなゐのくちびるも
きみがみどりのくろかみも
またいつかみんこのわかれ
 



なれがやさしきなぐさめも
なれがたのしきうたごゑも
なれがこゝろのことのねも
またいつきかんこのわかれ
 



きみのゆくべきやまかはは
おつるなみだにみえわかず
そでのしぐれのふゆのひに
きみにおくらんはなもがな
 



そでにおほへるうるはしき
ながかほばせをあげよかし
ながくれなゐのかほばせに
ながるゝなみだわれはぬぐはん



島崎藤村「若菜集」より





*画像上:あかひと(53歳)書 <半紙> 2009. 3.20 6:30 庵にて
*画像下:あかひと(24歳)書 <条福> 1980. 4.下旬 旧庵にて


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コメント一覧

あかひと
幽黙氏
かなしみの常にたゆやふこの胸にかげろふのごと淡きよろこび 丹人

御言葉胸にしみてゆきたり

頓首
幽黙
http://blog.goo.ne.jp/kue-biko/
あるいは喜びや楽しみよりは
哀しみや苦しみや憂いを
語る言葉の方が美しさを
秘めているのかもしれません

あかひと
皆々様へ
アザミ姫

藤村は南樓望をほの浮かべうたひゆきたる高楼とぞ思ふ 丹人

メロディのいとよろしかり惜別の哀しみ掬ひ天に散らせる 丹人

頓首


幽黙氏

時を越へ残る書のあり 羲之喪乱帖 顔真卿の祭姪稿 丹人

喪乱帖も祭姪稿も人の世の哀しみの極みを書き記したるものなり

頓首
幽黙
http://blog.goo.ne.jp/kue-biko/
別れ行く
時を惜しむ
別れ行く
人を惜しむ
別れ行く
地を惜しむ

別れは
いつも隣にありて
避け得ぬものなれど
常に
見ぬ振りを重ね
ついに
その姿を
見るに及びて
哀しみの感極まるなり
アザミ
惜別の歌
おはようございます。

あかひと様
24歳の時の書もまた
素晴らしいですね。

すてきな書に感動し、
「若菜集」の詩に涙しています。

「惜別の歌」として
小林旭が歌っていましたが、
この歌を聴くと
なぜか涙があふれます。

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