川口保 のブログ

1市民として市政を眺めつつ、社会のいろいろな出来事を取り上げています。

地盤の液状化について

2017-04-05 16:53:27 | 日記

◆南海トラフ大地震の被害予想
 国の想定による南海トラフ大地震による被害予想では最大で死者数が323,000人となり、被害は関東から九州にまで及ぶとしている。あの戦後最大の自然災害といわれた東日本大震災では1万9千人を超える死者・行方不明者を出したが、これをはるかに超える大きな被害が予想される。ただ、この数字はあくまで最大値で、地震の震源地の位置や、地震が夏に発生するのか、冬に発生するのか、昼間に発生するのか、夜間に発生するのか、また満潮時に発生するのか、干潮時に発生するのかなど94通りの組み合わせがあり、最悪の組み合わせになったときにこの数字となるという事です。

◆松阪市の津波のハザードマップ
 平成29年1月に作成された松阪市の津波ハザードマップでは、理論上最大クラスの南海トラフ地震の発生で、建物崩壊、津波、火災などで松阪市内の死者数合計が3,600人と予想されている。このハザードマップによると津波の最大深さが5m~10mとなっている。松阪市の伊勢湾海岸線には6mの堤防が造られているが、これを越えてくることになっている。2011年7月にボランテァ活動で行った東日本大震災の被災地である岩手県山田町にも高さ6mの堤防があったが、地元の人の話では、「この堤防を倍の高さで津波が越えてきた」と言われた。
 松阪市では南海トラフ地震による津波はこの6mの堤防で止まる想定であったが、このハザードマップによると堤防を越えてくる可能性があることになる。この場合でも堤防が健在であれば津波の被害がかなり少なくなり、また津波の高さによっては堤防で防げることになる。
 地震により堤防が崩壊する場合、液状化が原因とする場合が多い。地盤の液状化について知っている範囲で説明をしたいと思います。

◆地盤の液状化とは
 地盤の液状化とは地震の振動により、地盤中の土砂と水が混ざり合ってドロドロの状態になることで、いろいろな種類の被害が発生します。
 底の平らな四角い容器に砂を入れ、砂が浸るまで水を静かに入れたとき、水は砂の隙間に浸透する。この時掌で砂を押さえても手は砂の中に沈まない。ところがこの容器を激しく横方向に振ると砂と水が混ざり合いドロドロの状態となる。このようなことが地盤の中で起きるのが液状化です。

◆液状化が注目された新潟地震
 液状化の被害で注目されたのが1964年6月6日に発生したマグニチュード7.5の新潟地震です。新潟国体に向けて当時の先端技術の粋を集めて完成したばかりの昭和大橋が、供用開始後15日で落橋し、昔に造られた万代大橋が無事だったことで注目を集めました。この昭和大橋の被害も液状化によるものでした。また県営川岸町アパートの8棟のうち3棟が傾き、そのうち1棟は完全に横転しました。この被害も液状化によるものでした。アパートはゆっくり傾いていって、人的被害はなかったと記憶しています。

◆液状化発生のメカニズム
 平常時には地中の砂粒子はかみ合って安定した状態ですが、大きな地震が起きるとその振動で砂粒子間のかみ合いが崩れ、砂粒子が隙間の水(間隙水)に浮いたようなドロドロの状態になります。この時この間隙水の水圧が上昇し、時には逃げ場を求め、泥水が地上に噴砂という形で噴出されます。これが液状化のメカニズムです。

◆液状化発生の要因
 地盤の液状化が発生するには次の要因が全て重なったときに発生します。

1、地下20mより以浅で発生
 地表より地下20mまでの浅いところで発生します。20mより深いところでは、上部に積もっている土砂が重みとなって、下向きに押さえる力があるから発生しないということになります。

2、地下水位より深いところで発生する
 液状化は土砂と水が混ざり合う現象で、地下水位より下部で発生し、地下水位より上部では発生しない。

3、新しく緩い地盤で発生する
 液状化は新生代第四紀沖積層(完新世とも表現する1万年前~現在の地層)と言われる新しく緩い地盤で発生する。沖積層より古い第四紀洪積層(更新世とも表現する200万年前~1万年前の地層)でも発生したとする論文を見たような記憶もあるが、主に新しい沖積層で発生する。

4、主に砂質地盤で発生する
 土は粒子の大きさによって、細かい方から

・粘土(粒径0.005mm以下)
・シルト(粒径0.074~0.005mmの粒子)
・砂(粒径2~0.074の粒子)
・礫(粒径2mm以上の粒子

に分類される。地盤中ではいろいろな粒径の土が混ざり合うが、粘土・シルトを中心とする「粘性土」、砂を中心とする「砂質土」、礫を中心とする「礫質土」に分類される。液状化は主に砂質地盤で発生します。粒子の荒い礫質土では、地震の振動で間隙水圧の上昇が起きようとしても、水が粒子の間を通って逃げるため間隙水圧の上昇が消散される。逆に粒子も細かいシルト、粘土を中心とした粘性土地盤では粒子同士が吸着し合う力が強いため発生しにくい。

5、地震の振動
 これらの条件の地盤に地震の振動が加わったときに液状化は発生します。当然震度が大きいほど発生しやすく、東日本大震災では震度5を記録した地域で、大規模な液状化が発生しました。また揺れの時間が長いほど発生しやすく、揺れの時間が長い場合では震度4でも液状化が発生する可能性があります。

◆液状化による支持力の低下
 液状化した地盤の上にある構造物は、「砂上の楼閣」ならぬ「液上の楼閣」で大きな被害を受けることになる。構造物が建物であれば沈下したり、倒壊することあり、橋梁であれば落橋することもある。最近は大きな構造物は液状化するような緩い地盤に直接基礎の構造物は作らず、杭基礎などの工法を用いることになります。杭の支持力は先端部を固い地盤まで挿入した時の先端支持力と、杭に下向きの重力が働くときに、杭周面地盤の摩擦力「周面摩擦力」を合算して計算するが、液状化した地盤の周面摩擦力は0に近く、杭が折れたりすることもあります。
 堤防は海岸近くか、河川近くの液状化しやすい緩い砂質土の上に造られる場合が多く、杭基礎というわけにもいかず、どのような被害が出るかは予想がつかない。

◆液状化でマンホールが地上に飛び出すのは
 地震のあと歩道などに飛び出したマンホールや防火水槽の写真を見たことがあると思います。なぜあんなに重いものが浮き上がるのか不思議だと思われるかも知れません。水に物質が浮くのと同じ原理です。水の比重は「1」で、水より比重の小さい乾いた木や発泡スチロールなどは水に浮き、水より比重の大きい金属や石などの物質は沈みます。
 液状化してドロドロの状態になった土の比重は「1.9」です。鉄筋入りのコンクリートの比重は「2.5」で、地下の構造物がコンクリートの塊なら液状化で浮き上がることはありません。ただマンホールや防火水槽などは中が空洞になっていたり、コンクリートより軽い水が入っていたりして、体積に対する重さ「見かけ比重(密度)」が液状化の1.9より小さい時、浮き上がることになります。

◆液状化の対策工
 液状化の対策工は、液状化の発生する要因を1つでも消していけばいいのです。例えば地下水位の下で発生するため、地下水位を下げれば、水位以浅では発生しないことになります。石油タンクや、ガスタンクなどでは地下水を汲み上げ、水位を下げる方法がとられています。この場合、365日24時間汲み続けることになります。また緩い地盤を締め固めて固くしたり、セメントなどで固めて固くする方法や、地中に礫柱を造って間隙水圧の上昇を抑える方法などがあります。ただ、いずれも大変高額な工法です。

◆参考文献・インターネット
 ✦松阪市津波ハザードマップ(平成29年1月作成)
 ✦34メートルの津波、死者32万人 南海トラフで政府被害想定
 ✦液状化とは?液状化現象のメカニズムと液状化対策
 ✦過剰間隙水圧の上昇=有効応力の低下 - 地盤工学会
 ✦地質時代と沖積層・洪積層
 ✦1964年新潟地震直後に撮影された 写真に基づく液状化被害の状況
 ✦新潟地震 – Wikipedia
 ✦レキ・砂・粘土・シルトの分類
 ✦特集 液状化現象のメカニズム
 ✦液状化はなぜ起きるのか(地盤のニッケンキソ)
 ✦密度と比重量と比重の違い - 機械設計エンジニアの基礎知識
 ✦液状化対策工法の分類と工法概要 - 土木学会 委員会サイト
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