出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

ジャンルその後のその後

2009年05月25日 | 営業
新刊の調子がよくて気をよくしている。よくはしているんだが、これが広告の影響なのかパブの影響なのかわからない。動きが鈍くなっている本ならわかりやすいんだが、今回は「なんか全部いっぺんに来た!」という感じで読みづらい。普段からいろいろ出していれば比較もできるんだが、予算的にそうもいかない。

前回前々回とジャンルについて書いたが、少し付け加え。ある大手書店では、HPで本を検索するとジャンルも表示されてどの棚にあるかわかる。最初それを見て「ちょっと違うかも…」と思ったんだが、いかんせん在庫が毎日1冊ずつ減っていく。違う棚(こちらの思惑)に置いてもらったらそっちでも売れるかと思ったり、いやそのへんは店員さんがいちばんよくわかってるだろうしと思ったりしているうちに5冊まで減ったので、店まで営業に行った。

まずこちら(私と著者)が考えていたジャンルの棚に行くと、客が少ない。次に置いてあるはずの棚に行くと、そこは結構なお客さん。ああ、店員さんグッジョブと思いながら肝心の本を探したんだが、みつからない。数からすると面陳と思うんだが、「売れたら出す」をまめにしてくれている可能性もなきにしもあらずなので、よく見たんだが、みつからない。

このあたりで例の「営業嫌い、緊張しまくり」が出てきてしまって店員さんに声をかけることもできず、「帰ってから電話しよう」と思って店を出てしまった。で、帰ってきたら、追加の注文が来ていたのである。

うーん、営業しなくてもいいという根拠にしたくなるような事態である。

それはともかく、バイト先の本屋では同じジャンルの本であれば単行本も新書も一緒くたに置いている。どこに置くかなんて本当に店それぞれで、その店の客を熟知してない以上、やっぱり私なんかが口を出すことではないような気がする。こっちの棚でも売れ行きがいいというような「多面展開の自信」がない限り、店に任せたほうがよかろう。

私は特に、作っている者のとしての思い入れが強いせいもあって視野が狭くなっているだろう。このへんの「作っているとき」と「売るとき」の頭の切り替えも、今後の課題である。

このジャンルの話はもともとオンライン書店での疑問から始まったことだったが、いろいろ勉強になった。

ところで、22日に搬入に行ったときオンライン書店からの13日付の短冊をもらってギョッとした。15日にも19日にももらえなかった短冊である。規模が小さいために、搬入場所や注文情報などいろいろ特例という感じでやってもらってるのでしょうがない。

しかし一瞬、オンライン書店での表示を思い出し、「よかった~、『2~4週間で発送します』になってて。じゃなきゃ、お客さんに怒られちゃうよ~」と考えた自分も情けない。いろいろ見込んだ納品(その前に営業)っての、いつになったらできるようになるんだろうか。

ひとつ疑問に思ったのは、私はこの業界にいるので版元側の努力(すべきこと)がだんだんわかってきたが、お客さんはどのくらい理解しているんだろう。リアル書店では取り寄せに時間がかかると怒りの矛先をもろにかぶるが、アマゾンのお客さんもアマゾンに対して怒ってくれるんだろうか。。。

ジャンルその後

2009年05月12日 | 発売前
前の記事で書いた、オンライン書店でのジャンル入りについて報告する。とはいえ、これまでもアマゾン以外では何の問題もなく「それらしき」ジャンルに入っていたので、要するにアマゾンでの結果である。

おさらいをすると、今までは「本→検索」と出て、どこのジャンルにもしばらく入らないという状態であった。今回は日販で「どこの棚?」質問に対してハッキリ答え、ついでに「それがオンライン書店でのジャンルになるか?」とのこちらからの質問に、「そのとおり」とのハッキリした答をもらっていたのだった。

結論を言うと、「まったく違うジャンルに入っている」。

うーん、見本納品に行く前に確認して行ったので、ジャンルがないとか微妙にワーディングが違うということはない。しかしながら無視されたわけではなく、とりあえず別のジャンルには入っている。意図したジャンルとは違ったが、もちろんちんぷんかんぷんなジャンルというわけでもない。○○学か現代思想を申告したんだが、「ノンフィクション」である。確か、楽天ブックスも同じく日販じゃなかったかと思うが、こちらは○○。

○○に関する本だが、○○学という感じじゃないし、確かにノンフィクションではある。そういうことは読まなきゃわからんと思うんだが、書誌情報で判断したんだろうか。

今まで「本→検索」であったことを考えると、進歩とは言える。別にノンフィクションでもいいし。わざわざ申告されたものではないジャンルに入れるってのは、面倒じゃないんだろうか。

それより、考えるのは「ランキングを見て買う人対策をせよ」とのご指摘である。

個人的には、あるジャンルで本を探すとき、ランキングで表示させることはあっても、スクロールを繰り返し、その上何ページにも渡って次々ランキングを見ていくことはない。せいぜい5位くらいまで見てめぼしいモノがなければ、検索ワードで工夫する。

5位というのは極端かもしれないが、ランキング表示させて100位とかまで見にいく人っているんだろうか。かったるくないのか。

売れると何がいいかって、ランキング上位になること自体よりも、「この本を買った人は」のところで出てくる可能性が高まるという露出機会の増加じゃなかろうか。

今回に限って言えば、おそらく「別のところで本の存在を知った人が続けて購入したので、そこそこ上に来た」という状態ではなかろうか。ランキングで上にいたので買ったという人が、いったい何人いたのか。

ランキングのおかげで売れるようになるには、そこそこ上にいる状態をキープしなくてはならないわけで、そこでようやく「常に上のほうにいるから露出が多い」ってなことになる。鶏と卵みたいな話だ。

買いたい人が買えるように在庫をどうのこうのという話であれば、素直に納得できる。ジャンルに関しても、お客さんが探すときのサービスという意味では重要と思う。けど、ランキングに関しては、やっぱり「後からついてくるもの」という気がする。