自分の両親は、どのくらい僕に期待をして、どのくらい失望をしたのだろうかと思う。
僕から見て、両親からの期待や失望を感じたことは一切なかったが、僕の両親とて人の子だ。自分の子供が将来どんな風になるだろうかと夢想することくらいはあっただろう。それがポジティブな方向の夢想であれば期待だし、現実の僕がその期待通りに行かなければ失望になる。きっと僕の両親もいくらかは僕に期待をして、いくらかの失望は経験した筈だと思う。
その昔、僕の両親は幼い僕に色んなものを経験させようとしてくれたように思う。僕の反応を窺いながら、色んなことをやらせてくれた。僕が興味を抱いたものはまずやらせてくれたし、まだ興味を抱いていなくとも未だ出会ったことのないものであれば興味を抱くはずもないのだからとやらせてくれた。そうやってやらせてみて興味を示さなかったなら、すぐにやめさせてくれた。そして、大体のものを僕はすぐにやめた。
今、僕は別段何かに長けているわけでもなく、何かに挑戦している途上にいるわけでもなく、ただ日々を平平凡凡と暮らしているだけである。まだ若かった時の自分の両親に色々期待されただろうに、その一つにさえ報いることもなく、ただ失望だけを生み出して成長してきた気がする。そう考えて、少しだけ胸が痛くなる。