タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味。実は多産を象徴し、蜜は甘い。聖書には約束の地カナンは、蜜とヤギの乳の流れる地とある。

染色体はみな同じでは有りません

2017-05-19 21:32:44 | 産科
ニュースで見たのですが、新入社員は給料よりも休みの方を重視するのだそうです。
それでは、産婦人科医にはなれませんね。

昨日は外来はお休みでしたが、済生会兵庫県病院で北神・三田周産期医療検討部会というのが有って、
夜遅くまで勉強会に参加していました。
北神・三田ですが、一応篠山も仲間に入れていただいています。
2日に分けてみなさんにも説明致しましょう。

大きくはダウン症の問題ですよ。
みなさんの周りにダウン症の友達は居ましたか?
私は小学校1、2年の時に今井くんという友達が居ました。
よく学校を休むので、給食のパンを届けてあげるのです。
ついでにキャッチボールをよくした覚えが有りますよ。
彼は今頃、どうしているのかしら。

済生会の小児科の奥谷先生が司会をされていたのですが、
ダウン症の子は、エンジェルで、優しい子しか居ないのだとか。
それに対して、ダウン症でない子は、いじわるな子が多いのだそうです。
私も同感ですよ。
小学校ではよく同級生にダウン症の子が居るのですが、
中学になると国の方針で、別々にされて隠されてしまうから、
みなさんのすぐ周りに居るのを忘れてしまうのだそうです。

それで、もし自分の子がダウン症であったなら、とても戸惑ってしまうわけですね。
ここが根本的な問題です。

ダウン症の子は寿命が短いのですよ。
それでも最近は医学も発展してきたので、平均寿命は50歳くらいに延びているのです。
寿命にとくに関係するのは、心臓の奇形です。
生まれた時に先天性の心奇形を合併している割合が高いのです。
もう1つ、肺の異常も高い確率で合併するのだそうです。
肺高血圧症という病気を合併すると、その場合も赤ちゃんの間に亡くなってしまうことが有るのです。
ここが昨日の1つのテーマでした。

最近では赤ちゃんが生まれるとすぐに、右手で酸素飽和度というのを測るのが一般的になりました。
測定器具が安価に買えるようになったのもあります。
新生児が元気無く生まれてきた時は、素早く蘇生術をしないといけないので、
この場合も酸素飽和度の測定が重要になります。
値で言えば、生まれて5分後に80以上、10分で90以上、
しばらくすれば100%近くにまで上がるのが正常パターンです。
それがいつまで経っても94以下の低めの値しか取らない、となればドクターコールです。

ここまでが医療者なら誰でも知っている常識的な話なのですね。
ここから先が特殊な話なのですが、
生まれて翌日に、なんとなく色が悪い、こういうのをチアノーゼと言います。
この軽いチアノーゼのためにNICUに転院となった赤ちゃんの話です。

いつものように右手なら酸素飽和度は良い値なのです。
ところが足で測定すると、悪かったというのです。
普通は右手でも左手でも、足だって、同じような値のはずなんです。
さて何の病気か、というのですね。

そもそも右手で酸素飽和度を測るのは、酸素でいっぱいの動脈血が直接、右腕の方に流れるので、
脳みその酸素飽和度を表すとされているのです。
赤ちゃんの左手は、そうでもないのですよ。
赤ちゃんは胎児の時の循環がまだ少し残っているので、
左腕に流れる血液は動脈血だけでなく、本来は肺に流れるはずの静脈血も混じっているからなのです。
新生児期だけ、足も同様に少しだけ静脈血が混じっているのですよ。

でもね、通常なら右手も左手も、足もそれほど数値は変わらないのです。
ところが肺に障害が有ると、肺に流れるはずの酸素の少ない静脈血が、体の方に流れてしまうのです。
それで、右手より、左手や足の方が数値が悪くなるというわけですね。

少し専門的になりましたね。
要するに、ダウン症の子は、生まれた時から肺高血圧症という病気を軽く、
あるいは強く持っていることが多くて、右手だけではなく、足でも計測しないといけないという教訓ですよ。
それでよくなければ心臓だけでなく、肺の病気も疑って小児科で診てもらってね、ということです。

だからダウン症の子の子育ては、苦労するのですよ。
ですが苦労するお母さんは、むしろ赤ちゃんに対して愛着がより強く湧く、という話でした。
次回は、なぜダウン症の赤ちゃんを、産む前から選別されるのか、というお話です。


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