タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

産婦人科ガイドライン2017の改定点

2017-06-16 21:18:58 | 産科


上の写真は、篠山市郡家の茉白(ましろ)ちゃん、5月1日生まれ。
「白い茉莉花の花言葉のような愛らしい子になってください。
1番時間がかかったけど、気持ちの余裕が有りました。
みなさん親切でした。」

妊婦健診は毎回、お父さんが上の子たちを連れて頑張っておられましたよ。
3姉妹ですから、賑やかな家庭になるのでしょうね。

今日は、この4月に 改定された、産婦人科診療ガイドライン2017の変更点についてお話しましょう。

最近では何でもかんでもガイドラインということで、
もう医者は要らないよう、という世界ですね。
書いてある通りにすれば良いのですから、自分でだってできてしまいますよ。

例えば、妊婦健診の一番最初にする検査で、HTLVー1というウィルスの抗体を持っているかの検査をします。
とくに九州や紀伊半島出身の人は、この抗体が陽性のことがときどき有ります。
このお話は何度かしているのですが、今回、推奨される治療法が変わりました。

まずスクリーニングで、この抗体が陽性だと、WB法という精密検査で確定診断をします。
スクリーニングと確定診断は異なるということはよく有るのです。
さらにこのWB法でも、はっきりとしない場合は、PCR法までします。
ですがPCR法は保険が利かないので、すごく高価ですから、イヤだという女性が多いのも事実です。

それで何となく陽性らしいとなっても、自分が生きている間に何か病気になるという可能性はすごく低いのです。
白血病になることが有るけれども、めったにはならないという話ですよ。
でも、自分の赤ちゃんには、お産の時にこのウィルスがうつってしまうのですよ。
だから自分が発症しなくても、自分の子供が発症するかもしれない、もしくは孫とか、子孫とか。
それなら自分の代で、このウィルスを根絶しておけば良い、ということになりますね。

根絶するために、これまでは3つの選択肢が有ったのです。
1つ目は、赤ちゃんにお乳をあげずにミルクで育てる。
2つ目は、初めの数ヶ月の短期間だけお乳をあげて、あとはミルクに変える。
3つ目は、自分のお乳をしぼってから、いったん凍結して、それを解凍してからあげる。

ところが今年の改定で、推奨されるのは1つ目の、お乳はあげないというものだけになったのです。
覚えましたか?
それでもあげたい、というお母さんは、相談してください。

それともう1つ、別のことなのですが、今年改定されたことが有ります。
生まれたばかりの赤ちゃんに、聴覚検査をしているのはご存知ですね。
タマル産では、たったの3千円です。
先天性代謝異常の検査は自己負担が無いので、みなさん受けられますが、
聴覚検査は有料なので、拒まれるお母さんがけっこう居られます。

この検査、今年から推奨度がBランクに上がったので、すごく受けた方が良いよ、という検査になりました。
してなくて、赤ちゃんに聴覚異常が見つかると、産んだ施設ですすめたかどうか問われそうです。
今までは申し込みされた方の同意書だけ残していたのですが、
これからは、お母さんが拒んだ、という証拠も残しておかないといけないようです。

そのうち、赤ちゃんに障害が残れば、
子が親を訴える時代が来るかもしれませんよ。
笑いごとではないでしょうね。

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