たまおの星便り-32cmドブソニアン「さんだゆう」の航海日誌 N O W !!  

口径32cmの自作反射望遠鏡「さんだゆう」で房総九十九里から日毎夜毎、星海原に繰り出し、夜空を駆け巡る観測日誌。

・2018/1/13(土)14(日) マイナス4度、年明けの一勝一引き分け。

2018-01-22 | たまおの星便り

 スーパームーン満月期の年初から冬型が強まり房総は乾燥した晴天が続いた。13日の土曜日は午前2時半過ぎに海岸に到着した。寒波襲来でマイナス2度から気温はさらに下がり始めていた。ほとんど風のない砂浜に機材を運び込んでまず例によってテスト撮影をいくつかしたあと、おとめ座の62P紫金山第一彗星とてんびん座の24Pショーマス彗星を狙う。それぞれ目盛り環を使って近くの輝星から赤経赤緯の差分だけ鏡筒を手動で動かす。30年物のSPDX赤道儀ならではの古風な導入手法は離角が大きいと誤差も大きいが、何より簡単迅速なのがいい。やがて新月まであと5日の細い月が洋上低空の雲間から顔を出す。予想外に明るく空を照らし海岸に砕ける波頭もはっきり見えだした。月から離れた空域に筒先を向けながら30分ほど撮影を続けていると低空の雲がせり出し徐々に南天を覆い始めた。東天にすでに輝いているさそり座やへびつかい座など夏の星々が次第に雲に飲み込まれ、さらに30分ほどで曇ってしまった。真冬の夜に富士山から関東南岸の海にかけて湧き出す雲にまたしてもやられてしまった。結局、薄明まで待たずにマイナス4度の海岸から退散した。
 翌14日は直前まで気象衛星画像をチェックして奇襲するような雲の痕跡がないことを確認してから出発した。海岸の気温はすでに前日未明と同じマイナス2度まで下がっていた。いつもの駐車場に先に車が停まっていて望遠鏡が見える。やや強い北西風が吹いていたので海岸ではなく駐車場の西側端に観測場所を決めてから挨拶に向かう。八千代市から来られた初対面のSさんはあまりに寒いので撤収するとのこと、車に載ったオライオンの25センチ?反射を帰りがけに見せてくれた。薄明開始まで2時間半しかないので少し話をしただけで機材の設置に戻る。遥か東方沖で時おり稲光がするが雲の心配は全くない。昨夜と同じようにフルサイズの写野テストをした後に東天の62Pと24Pの2彗星を撮影する。さらに半分で終わった昨夜の撮影メニューの続きを黙々とこなしていく。木星と火星が南東の空に高く昇るころ美しい逆三日月が見え始めた。透明度が高いだけに月明りも眩い。風が弱まりマイナス4度を下回るほど寒くなったが冴え冴えとした夏の星空が昇る中で5時過ぎの薄明を迎えた。

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・2017/11/25(土) 春の星座を移ろう東天の2彗星。

2017-12-03 | たまおの星便り

 秋も深まり西高東低の冬型になってようやく晴れ間の多い日が続くようになった。寒さとともに空が澄み一晩中星が輝く季節の到来だが、ここ数年は夜になって雲が湧き上がることも多くなった。等圧線が混んで強い西風が吹くとカラリと晴れ上がると思いきや、風下の富士山の東側に延々と雲が広がるパターンも目立つ。相模湾や伊豆諸島近海の海水温が例年よりも高いというのも関係しているのだろうか。まさに観測地のある房総直撃で雲が襲来する。
 
 低気圧の去った11月25日土曜日は風も穏やかで衛星画像でも近くに雲もなく、SCW天気予報も完全な晴天を告げていた。薄明開始は午前4時50分頃、月が沈んだ後の夜半2時過ぎに気温2度の海岸に到着した。 例によってクローズアップレンズを数種類組み合わせた自作レデューサー・コマコレクターのテスト撮影をする。火星が洋上に姿を見せる頃から撮影メニューにしたがって断続的におとめ座、うしかい座方向に15cm鏡+EOS6Dを向ける。その前後には未明の東天を約11等で東進している62P紫金山第一彗星と24Pショーマス彗星の測光用写真を撮影、兄弟のようによく似た姿をとらえた。気温0度、炎のように燃え立つ黄道光が次第に薄明の中に消えていった。
 この時期、薄明まで星空を満喫できるの通勤大渋滞のない土日祝日のみに限られる。平日は4時過ぎには海岸を後にしなければならない。それを承知で11月29日水曜日未明にも出動態勢に入った。ところが0時になってもSCW予報では雲のない晴れ、衛星画像では雲がかなり広がっており、ひまわり霧画像では千葉西部の濃い低層雲がゆっくり東進中と、三者三様で気象状況がはっきりしない(画像下)。結局この日は出動しなった。時間に追われる平日は、確実な晴れが見込めないと深夜未明の片道70キロを移動するのは難しい。

 

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・2017/10/1(日)未明のエイサスエスエヌ彗星とテスト撮影。

2017-10-10 | たまおの星便り

  今夏から初秋にかけては悪天候の連続だった。片道1時間20分かけて九十九里海岸に着いても、晴れ間20分、よくて1時間で雲が襲来、退散することもあった。そんな雲の合間をぬいながらも8~9等でおうし座からペルセウス座を動くC/2017O1(ASASSN)彗星を追った(画像上)。予報ではもっと明るくなるはずだが意外に拡散していて尾もはっきりしない。
 大雨後の10/1日曜未明になってようやく台風一過の快晴となった。雲の心配のない久しぶりのクリアーな空でいくつかのテスト撮影もした。彗星のような拡散状の天体を極力明るい光学系で捉えることと、F4クラスの短焦点反射で発生するデジカメ・フルサイズ周縁の激烈なコマとの折り合いをつけるのは難しい。精緻な光学理論と数値計算によらず試行錯誤で解決するのはほとんど不可能だが、無理とわかっていても機材を調達しながらいろいろチャレンジするのは面倒でも楽しい。
 クローズアップレンズのNo4とNo2を組み合わせたり(合成焦点距離167mmのNo6相当)、No5とNo1や別のセットに変えてみたり、間隔やバックフォーカスを調整したり、その都度、ピントを合せながら星像を比較する。中心の輝星はベテルギウス、フルサイズの周縁画像は右上の端。周縁では目をおおうばかりだった巨大な雨だれ状のコマが、どうにか小さな三角おむすび型の星像にまでなったが、かぎりなく点に近づくまではまだ遠い(画像下 元画像の70%縮小)。

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・2017/8/21 北米日食爆走3000キロ、興奮と困憊の7日間。

2017-09-09 | たまおの星便り



 雲間から奇跡的に見えたケアンズ皆既日食から5年、小学生の頃、わくわくしながら見た懐かしの西部劇「ララミー牧場」の近く、アメリカ中西部の大平原までまさか自分が行くことになろうとは思わなかった。ロサンゼルスを経由し、問答無用の厳しい入国検査を抜けてソルトレイクシティーに着いたのは現地17日の夜。ABC放送でも21日は若干の雲があるが晴れ予報、日食グラスが各地で売り切れていると報じていた。

 今回は「地団研」という中高の地学の先生方のグループ向けに企画された日食ツアーに友人と参加した。ソルトレークシティに日食4日前に入り、ほぼ車窓から数億年の歴史を刻む中西部の地層地質を延々と見学、雄大な地形に周りが歓喜している一方で、少数派の日食のみ目当ての天文屋はなんことかわからず、ひたすらバスに揺られていた。
 途中、アイダホホールズ、ショショーニ、リバートン付近の日食中心線を何気なく通過したが、同乗者はほとんど無言で、天文屋2名だけが「線」を通過のつど、歓喜していた。結果、ユタ州からアイダホ、モンタナ、ワイオミングへとバスで移動し5日間で3000キロも爆走することになった(下図 全行程と中西部の車窓風景)。

 それでも日食当日の21日はワイオミング州キャスパー郊外、ノースブラッド川畔にあるTate Pumphouse Trail Centerという水道局施設を借り切って、黒い太陽を5年ぶりに見ることが出来た。途中、ABC放送の撮影取材に応じたりもした。早朝は快晴だったが、部分食が進むにつれて、いわゆる日食雲のような薄い低層雲がかかったこともあってか、今回の皆既は地上の風景が特に明るく感じた。まさにあっという間の2分26秒だった。第4接触の日食終了もそこそこにバス移動、「中西部始まって以来」とニュースで報じられるくらいの大渋滞にはまりながらローリンズに仮泊、ほとんど休む間もなく夜を徹してソルトレークからシカゴ経由成田便へと乗り継ぎ、へたばりながら帰ってきた。(下図は観測地風景と同行の方々の観測風景)



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・2017/7/21(金) 梅雨明け後の混沌とした晴れ間。

2017-08-03 | たまおの星便り

 梅雨が始まりひと月、ふた月、星は拝めないだろうと思ったら、口惜しいことに7月上旬の満月頃から連日連夜の猛暑、夏空が広がった。中旬になってようやく梅雨明けがたどたどしく宣言されたが、皮肉にも今度は大気不安定の毎日となった。それでも、月はあるがGPV気象予報ではかろうじて朝まで晴れ予想の日がやっと到来した。気象衛星画像でもはっきりした雲は房総半島付近にはない。例年、梅雨明け直後に見られる透明度の高い抜けるような星空には程遠かったが夜半前に九十九里に向かった。着いてみると南風が予想外に強い。そのため海岸砂浜ではなく、駐車場の西端に車を風除けにして機材を設置した。
 空はすっかり秋景色になっていた。バーティノフマスクでのピント合わせには一等星以上の明るい星のほうが精度がでるが、フォーマルハウトは南天に低く車体が邪魔になる。やむなく二等星のアンドロメダ座αアルフェラッツでピント出しをする。そこからすぐにペガスス座αマルカブに筒先を向ける。この星の東を13等で移動するC/2015VL2レモン・ヨン・パンスターズ彗星を導入しようとしたが、赤経を逆に回転させてしまった。実はこの梅雨休みのミニ工作として手動の赤緯微動ギヤと赤経微動ギヤをシャフトに取り付けた。それぞれ目盛一回転で5.0×3.1°だけ写野を移動できる。だが、このアナログな回転操作にはまだ慣れていない(画像下 右はプリンターのインクリボンを利用した素通しファインダー)。

 2時半過ぎに南西から雲が流れてきて空の半分を覆い始めた。さらに透明度が悪くなり東天低空の逆三日月も時々雲に隠れるようになった。薄明が進むなかで雲間を縫いながらC/2015ER61パンスターズ彗星を写野に入れたが偶然に11・1等星と完全に重なっていたのが後で判明した。まだ暗い217Pリニア彗星はかすかな尾が写っていた。
 3時半過ぎ、空が白み始めると雲量8、気温25℃、ほぼ曇りとなって機材撤収を始めた。

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・2017/6/3(土) 梅雨入り前のクリアー、無風、静寂の星空。

2017-06-16 | たまおの星便り

 日の出が一年で最も早くなる夏至前の2週間は2時半過ぎにはもう薄明が始まる。月没が夜半過ぎ、暗夜はわずか2時間ほどしかない。次の新月期、いや、梅雨明けの7月末までしばらく星空休業になるかもしれないと思いながら海岸に機材をセットした。この時期としては珍しいくらい透明度が高い。風もなく控えめの波音がかえって寂しげに聞こえる。
 まず南天から西に傾きかけたさそり座アンタレス近くで明るくなっている71Pクラーク彗星に筒先を向ける。今夜の15cm反射にはクローズアップレンズを何枚か組み合わせバックフォーカスを調整した自作のレデューサーが装着されている。これで合成焦点距離380mmF2.5の速射砲となる。何度か試写を重ねたフルサイズEOS6Dの視野周縁のコマ補正はまだ完全ではないものの夏の天の川近辺ではISO5000相当の25秒露出でも背景がカブッてしまう。
 西空のうしかい座にはC/2015V2ジョンソン彗星が輝いている。もうしばらくすると東京の光害にのみこまれてしまうだろう。さらにこと座のベガから南下したヘルクレス座には41Pタットル・ジャコビニ・クレサク彗星もあるが最も狙いにくい天頂付近ということもあり手動導入に失敗してしまった。
 時刻はすでに1時20分、薄明開始まで時間がない。あらかじめ用意したいくつかの撮影メニューにしたがって主に東天の星々を25秒露出で次々と約4°×6°の写野に捉えていく。
 太平洋上に明けの明星、金星が白く輝き始める頃、C/2015ER61パンスターズ彗星を狙う。大気が透んでいることもあって立派な尾がライブビュー越しに確認できる。
 2時50分、薄明開始がとうに過ぎても空は意外に暗い。牛歩のようにも感じられる初夏の薄明の中で梅雨前の星空行脚を終えた。(画像は左からC/2015V2、C/2015ER61、71P)

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・2017/4/29(土)~5/5(金) 九十九里~北軽井沢往来ウィーク。

2017-05-17 | たまおの星便り

 3月初めからほぼ二ヶ月近く、なかなか晴れないか晴れても何かとタイミングの悪い日々が続いた。それだけに新月近い今年の大型連休には期待していた。特に前半は例年なら空を澱ませる黄砂も少なく好天の予報となった。
 29日連休初日の未明1時過ぎ、九十九里の浜辺は風もなく気温9度、天の川が頭上の空をきれいに二分して輝いていた。 久しぶりの機材の設置と調整に時間がかかる。まず長い休航の間に調達しておいたMCクローズアップレンズNo.1(焦点距離1000mm)をNo.5をベースにした自作レデューサーの直前に取り付けてEOS6D+15㎝鏡による星像チェックをした(画像下右)。焦点面までのバックフォーカスを微調整しながら画像を何枚も撮っているうちに時間が過ぎていく。2時過ぎにジョンソン彗星を狙おうとして当夜の彗星の位置情報を全くメモしてこなかったことに気付いた。車の中にパソコンはあるが吹きさらしの海岸にネット環境があるはずもなく彗星の観測画像は諦めた。止むなくメニューに従って東天の空を中心に撮影を続けていると40分ほどして透明度が極端に悪くなった。陸側を見ると巨大な霧の塊が海に向かって少しずつ押し寄せていた。その後10分もしないうちにあたりは深い霧に覆われ、天頂付近のベガも微かに見える程度になってしまった。しばらく待機していたが結局そのまま薄明を迎えることになった。
 そしてその夜には、海岸から250キロも遠く離れた群馬県北軽井沢にある友人の別荘観測所を訪れていた。久しぶりに会う星仲間数人と夜半前から翌日の薄明まで寝食忘れて高原ならではの透明感のある満天の星空を楽しんだ。時間がたっぷりあったので2年前に購入してほとんど使っていなかったコマ補正レンズMPCCをEOS6D+15㎝F4鏡につけてメシエ天体を何枚か撮った。MPCCメーカー指定のバックフォーカス51.7mmを厳格に順守した星像はフルサイズの周縁でもよくコマが除去されていた(画像下右)。レデューサー効果はないがメーカー純正品はさすがに違うと実感した。
 その翌日は早くも船橋に向けて下山、途中、プラネタリウム解説員としての勉強も兼ねて高崎市少年科学館に立ち寄った。満30歳になる船橋プラネタリウム館のGN-AT機(五島光学製)より一回り大きいGL-AT機を現役で22mドームに投映しているとあって肉声の生解説生ガイドを楽しみにしていたが、実際はすべて録音の音声自動ガイドだったので少しがっかりした。
 さらにその翌日は三浦半島の先、逗子の教会で仕事先の葬儀に参列、翌5月2日未明には快晴夜の九十九里に再び降り立った。ジョンソン彗星、41P周期彗星を撮影後1時間、何も気にすることなく昇りくる秋の星々を巡っていると西北西から白い雲の帯が見え始めた。数時間前には遠く日本海にあった雲が急速に南下して北関東から房総にかけて広がり一気に曇ってしまった。薄明を待つまでもなく退散せざるをえなかった。
 連休後半のこどもの日もきれいに晴れわたった。未明の気温10度、気象衛星画像によると明け方まで雲や霧の心配はほとんどない。ジョンソン彗星をまず狙おうとしたがほぼ天頂にあり鏡筒が三脚に干渉、接触してなかなか導入できない。諦めて41Pタットル-ジャコビニ-クレサーク彗星に筒先を向ける。その後、東天ペガスス座からみずがめ座付近の星野を流し撮りしながら「みずがめ座η流星群」を気にしていたが一個も見ることが出来なかった。3時過ぎの早い薄明開始にあわせて洋上低空のC/2015ER61パンスターズ彗星を狙い、さらにC/2017E4ラブジョイ彗星の崩壊した姿を超々低空に捉えようとしたがすでに薄明に星がかき消され始めていた。
 多少の雲霧、浮世の些事に中断されはしたものの星月夜を求めて走り回った距離は700キロ近く、忙しく楽しく疲労困憊の連休だった。
 

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・2017/3/28(火) 口惜しい早春の新月期。

2017-03-31 | たまおの星便り

 桜の開花宣言前後から花曇りと晴天が交互にやってくるようになった。彼岸も過ぎて明け方の天文薄明が4時過ぎとぐんぐんと早くなる。これからは当分は平日早朝の帰還でも出勤大渋滞に悩まされることはない。
 新月の28日、昼間はずっと冷たい雨が降り続き、夕方になってようやく止んだ。光害がひどい船橋の自宅でも北極星がすぐにわかるくらい空気も澄んで、気温が急激に下がり始めた。23時過ぎには夜露に濡れた駐車場の車のフロントガラスには既にうすく氷が張っている。このまま朝まで雲が来ないのか判断に迷った。というのも、いつもはほとんどあてにならない気象庁の夜間の予報が朝まで曇だった。高層大気の現状がわかる2.5分ごとの衛星画像では23時40分時点で観測地には雲がないが西から急速に雲塊が西進している(上左)。夜であれ昼であれ一番信頼性の高いGPV気象予報では明け方4時は関東地方から九十九里にも雲がかかる見込みを出していた(上中)。海岸まで70キロ、1時間半の道のりがあり、観測時間を考えると遅くとも深夜0時には出発か否かを決めなければいけない。ぎりぎりまで待ったあげく、関東西部の雲が徐々に張り出しこれからまた雲に覆われるだろうと踏んで出発を断念した。
 結果的にはこの判断は誤りだった。予報と予想に反し雲塊は観測開始時刻には房総の手前で消え留まり、結局、薄明時まで観測地に雲が届くことはなかった(上右)。未明に自宅で眺めるPC画面の衛星画像がうらめしくもあったが、例年どおりこれからの季節、雲の隙間を狙って右往左往することも多々あるだろうと観念した。 

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・2017/2/26(日)、3/5(日)冬の終わり、夏の星座と星雲、彗星。

2017-03-11 | たまおの星便り

 今冬は九十九里で薄明を迎えた日だけを振り返れば、おおむね暖かかった。1月26日未明にマイナス5℃になったほかはいずれも0度前後だった。
 2月26日(日)も冬型快晴ながら+3度、厚着の観測衣装で機材を車から海岸砂地まで運び出すとうっすら汗をかく。撮影用の主砲を15センチ反射にしてから微振動のブレが画像に時々出るようになったこともあり、ビクセンSPDX赤道儀に標準装備されていた木製三脚を30年ぶりに物置から取り出し現役復帰させた。一脚の木の厚さが5センチ、幅が10センチもあり、長さが1メートル、それが三本となると結構重いしかさ張る。外見上も三脚だけがやたら大きくて赤道儀が貧相に見える。それもあってこれまで今流の軽量アルミ三脚に赤道儀を載せて撮影していたがそろそろ限界となった。
 未明の空はもう夏の星座が目立つ。西天しし座の45Pホンダ・ムルコス・パデュサコバ彗星、天頂ヘルクレス座のC/2015V2ジョンソン彗星から東天の天の川銀河に筒先を向ける。いて座の真っ青な惑星状星雲NGC6818、暗黒星雲と赤いガスが織りなすM20など、わずか25秒の露出でもたくさんの夏の見どころが映し出される(画像上)。
 3月5日(日)も弱い冬型となり気温は+1度。この季節は日曜が晴れると通勤渋滞を気にしないで薄明開始時刻までゆっくりと星空航海を楽しむことができる。風もほとんどないので月が沈む時間を見ながら海岸砂地に機材を運び込む。違法侵入の車が一台、波打ち際から海岸の駐車場にちょうど帰って来た。あとに続く侵入車両もなくその後は暗い海に戻った。まずクローズアップレンズを何種類か差し替えてテスト撮影を行った。コマ収差を除くフルサイズ用フラットナーと短焦点化レデューサの両方を求めると視野中央のピントが甘くなる。自分の用途にあった既製品が皆無であればベストでないにしてもベターなレンズの組み合わせは実写で詰めていくしかない。3時前からいくつかの彗星の測光画像を撮った(画像下)。

 その後、いつもの撮影メニューにしたがってわし座からいるか座、昇りたての秋の星座へと筒先を向ける。途中、いったん風が出てきたが30分くらいで止み、天の川が高く昇り切る頃には洋上の雲がうっすらと浮かび上がり薄明過ぎになったことを知る。あとで画像をチェックしてはじめてわかったが、テスト撮影してからEOS6Dを再びアダプターにさした時にわずかにリングが斜めにずれていたようで、ほとんどすべての画像が周辺でいつになく乱れていた。がっかりしたが闇夜の現場では注意しないと稀にこんな失敗も経験する。

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・2017/2/4(土)強風の太平洋上、未明の3彗星。

2017-02-13 | たまおの星便り

 低気圧が大雪とともに北国を過ぎるといつもの海岸は北西風が吹き荒れる。未明には少しは風がやわらぐだろうと踏んで海岸に機材を設置したこの判断が甘かった。例年の冬なみに透明度はいい一方、星は休むことなくしきりに瞬く。防寒具で着膨れた体を盾にして望遠鏡をかばうが風を除けきれない。おまけに細かい砂粒が足元を地吹雪のように滑り飛んでいく。大気がかく乱されているために2℃から下がらないが体感温度はもっと低く感じる。あとで画像をみると人工衛星の光跡が微妙に風に揺らいでいた。シンチレーションと鏡筒自体の微細な揺れがミックスされているようだ。

 
海岸砂丘の吹きさらしにあえて陣取ったのは、薄明開始時でほぼ真東の高度わずか8度という45Pホンダ・ムルコス・バデュサコバ彗星を洋上ぎりぎりに見たいためだった。11日に地球に約1300万キロまで近づき、明け方の空で6等級になると予想されている。薄明までの間、風の息継ぎを計りながら高度の高い順にC/2015V2ジョンソン彗星(上中)、C/2015ER61パンスターズ彗星(上右)、73Pシュワスマン・ワハマン3彗星を狙う。
 午前5時20分、東天低空はすでに白み始めて遥か沖合いの雲が黒く浮かび上がる。 さらに風が強まる中、高度11度になった45Pに筒先を向ける。双眼鏡では確認できなかったがデジカメの液晶画面には青く大きく広がった光芒が映し出されていた(上左)。釣り人たちの車が到着し、朝焼け色があたりを染める頃になってまもなく、冷たい風に震えながら撤収を始めた。

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・2017/1/3、1/7(土) 新年の太平洋上に浮かぶネオワイズ。

2017-01-15 | たまおの星便り

 年末年始は冬型が続き連日の星夜を期待していたが、例によって夜半から明け方にかけて伊豆半島沖から富士山に向かって反転北上する低層雲が関東南岸を覆うことがしばしばだった。こういう夜の天気は気象庁の発表をベースにした予報は官民ともほとんど当てにならないので衛星画像(高頻度)とGPV予報、ひまわり霧情報をこまめにチェックしながら自分で星見頃を計らなければいけない。
 三が日の3日はしぶんぎ座流星群の極大前触れを見たいといつもより早めに海岸に到着した。西北から冷たい風がたえず吹いていたこともあって砂浜ではなく駐車場の西端に車を風除けにして機材を設置した。時々、おおぐま座αと北極星を結ぶ正三角形の頂点付近にある放射点に目を向ける。ほぼ同じ方角にあるC/2015V2ジョンソン彗星やテスト用画像をこまごまと撮影をしていると3個くらい足の速いしぶんぎ座群の流星が空をよぎった。2時過ぎに車が一台海岸に入ろうとして砂にはまってスタックし、ヘッドライトを点けたまま10分ほどもがいていた。この間は作業を中断せざるを得なかったが海岸への侵入を諦めて車が退散したあとは波音だけが響くたった一人の星空に戻った。風のために気温も下がらず零度、すでに夏の星座の半分が東天に昇り始めている。ラジオから「おはようございます」の声が聞こえ、はるか沖合いの雲が薄明に浮かびあがる頃になって、へびつかい座で球状星団M14に接近しているC/2016U1ネオワイズ彗星の姿をとらえた(上左)。
 7日の土曜日は放射冷却のクリヤーな空となった。夜半過ぎに月が沈むのを見計らって海岸に到着する。微風が冷たく肌を刺す。駐車場から海岸寄りに30メートルほど入った砂浜まで機材を運び込み、すぐにうしかい座にあるC/2015V2ジョンソン彗星の撮影体制に入る。気温はマイナス2度、すでにさそり座の頭が洋上に昇りはじめている。15㎝反射とフルサイズ一眼の重みを移動式のSPDX赤道儀が足場のゆるい砂地で支えているとあっては、わずかな風でも画像がぶれてしまう。北西に置いた自分の体をずっと風除けにして撮影メニューをこなしていく。へびつかい座から天の川の主流付近を画像に収めた5時半過ぎに、ようやく高度7度になったC/2016U1ネオワイズ彗星に筒先を向けた。すでに空が白んでいて30秒露出2コマのみだったが、それでも近日点通過8日前に約0.5度のスマートな尾を引く青い光芒を最後の見納めとすることができた(上右)。

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・2016/12/10(土)薄明開始まで2時間、微風静穏の星日和。

2016-12-17 | たまおの星便り

 11月下旬からの新月期には冬型気圧配置の日が少しずつ多くなってきた。だが、沖合の海水温がまだ高いのか夜半過ぎになると房総南方沖から東京湾を回り込むように雲が湧き上がってくるのが気象衛星の高頻度画像からも見て取れ、なかなか全開の星空にはならなかった。
 10日土曜日は前日から晴れ間が続きようやく安定した星月夜となった。すでに満月4日前、月没の3時から薄明開始まで暗夜は2時間ちょっとしかないことを承知の上で、この新月期最後の航海に出帆した。
 風が弱いことと週末で密漁車が明け方近くに押し寄せてくるだろうと考えていつもの海岸砂地よりも西端に奥まった場所に機材を運び込んだ。透明度もよく遠く銚子の灯台や発電風車の灯かりが良く見える。月が沈むとすぐにテスト撮影から始め、予定したメニューにしたがって主におとめ座からてんびん座方向に15センチ鏡の筒先を向ける。この空域はわずか20数秒の露出でも14等クラスの微小銀河が頻繁に写野に入ってくる。いつもながら黄道光が背景を赤くカブラせるなか、来年明るくなると予想されているC/2015ER1パンスターズ彗星が14等で微かに写っていた(上右)。
 薄明近くなって北斗七星が北東天に高く昇ってきた。ひしゃくの取っ手の先η星のすぐ南にあるC/2015V2ジョンソン彗星を狙ったすぐ後に、うしかい座βの南を急速に東に移動しているC/2016U1ネオワイズ彗星に焦点を当てた。10日ほど前は極めて拡散して朧げだった光芒が10等級の青いコマに急成長していた(上左)。
 空に徐々に光が戻ってくるのにせかされながら、ふと、今日は海岸への侵入車両が一台もなかったことに気づいた。実は曇ってしまったが一週間前の土曜日に来た時には3時くらいから明け方まで5~6台の密漁車が海岸に出たり入ったりして全く落ち着かなかった。この数日の間に効果的な取締りでもあったのだろうか。ともかく波音だけが響くひさしぶりに静穏な星日和だった。

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・2016/11/6(日)天高く、妖しく赤い黄道光と密漁車。

2016-11-22 | たまおの星便り

 
 11月最初の日曜日になってようやく雲も風も月も通勤渋滞も気にしないで薄明まで星空航海ができる日がきた。まず、15センチ反射の光軸や撮影システムのチェックをするために、2時半過ぎに東南の空高いプロキオンに向け30秒くらい露出をした。するとEOS6Dのライブビューに写った画像がやけに赤い。気温は8度を切っていてデジカメの熱カブリの可能性は低い。100メートル離れた道路の陰には赤信号が点っているが光を散乱させるほどの濃い海霧もない。PM2.5混じりの黄砂が押し寄せる春先には赤カブリが激しくなるが今日は秋晴れの夜。何が原因だろうと周辺を撮影するとやはり視野が赤い。もしやと思って洋上の空に目を凝らすと、まだ低いしし座周辺から淡い光の巨大な帯が燃え立つように天空に伸びていた。さらに見ると、黄道光はかに座から南天高いふたご座あたりまで蔽っていて、プロキオンはまさにその渦中に輝いていた。何も妨げるもののない暗夜を期待していたが、透明度がまずまずの晩秋の明け方は、黄道光が伏兵となって東天のディープスカイに浮かぶ星雲、銀河、彗星などの微光天体をかく乱していた。

 4時前になってしし座の下半分が見えて来たのでM65,M66、NGC3728で作る「春の銀河ミニ三角」などの銀河に筒を向けた(写真上左)。薄明も近く忙しく操作をしていると、突然、煌々とライトを点けた白いトラックが駐車場に入ってきてそのまま海岸に一気に乗り上げて行った。しかもすぐ近くの浜辺をライトを上向きにしながら行ったり来たりして走り回っている。夏に大きな取り締まりがあったと見えて一時期少なかった海岸への乗り入れも、ほとぼりが冷めたとみたのか、また違法密漁車が横行するようになった。
 薄明が始まった頃、空に青みが戻って来る中、C/2015V2ジョンソン彗星と144P串田彗星の12等から13等の微かな光を捉えた(写真上中、右)。木星もすでに洋上に昇りまばゆく輝いていた。

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・2016/10/28 二か月ぶり、晴れのち曇りの九十九里。

2016-10-31 | たまおの星便り


9月の初めから2回の新月期にわたって悪天候が限りなく続いた。確かに秋雨前線が活発になる季節ではあるが、今年は台風の量産もあって秋口としてはここ十年で記憶にないくらい長い自宅待機となった。ようやく移動性の高気圧が列島を覆い始めた28日未明、気象衛星画像では雲の帯が東進していて一抹の不安はあったが、この時を逃すといつ晴れるかわからないと九十九里に向かった。
 海岸ではすでに気温10度を下回っていた。平日なので交通渋滞を避けるために薄明を待たず帰路につかなければならない。あまり時間がないのに2か月ぶりとあって機材設置の細かい手順が何かとぎごちない。そうこうしているうちにはじめは北東にたなびいていたうすい雲も見えなくなっていた。
 2時前に準備完了、霞がかかったようなぼんやりした空だが、撮影スケジュールに添ってEOS6D+15センチ反射鏡を東天に向ける。弱い北西風に吹かれて車はすでに夜露にぬれている。時々、主鏡と斜鏡をチェックするが取り付けたヒーターの出番までには至らない。いつもは30秒程度の露出で15等級までは写るものの、なかなか16等級以下の微光星が写らないので、今回はISO感度を3200から6400まで上げてみた。だが今回の空の状態ではカブリだけが増えてしまい、さらなる深宇宙の姿がはっきりしたとは言いがたい。
 3時近くになって心配していたとおり西側から雲の帯が徐々に伸びて来た。急いで高度22度の北斗七星とりょうけん座の境界付近に筒先を向け、予定していたC/2015V2ジョンソン彗星の測光写真を撮った(画像上左)。空の西半球を蔽っていた雲がまもなく空全体に斑に広がってしまった。少しの晴れ間を期待して待っている間に新月4日前の細い月が水平線上の雲間から姿を現した(画像上右)。赤く妖しい地球照が再び雲に隠れるのを見てほどなく2ヶ月ぶりの星空航海を断念した。

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・2016/8/30~9/1 迷走台風一過、波しぶきを避けて。

2016-09-21 | たまおの星便り

 

 今夏は南洋で発生して特大サイズに成長した台風が次々と日本に襲いかかってくる。その中でも台風10号はほぼ半月も日本近海を南北にうろうろして関東を長く曇らせた。ようやく北に去り急速に晴れ間が広がったのはもう8月も終わりの新月期だった。
 8月31日は気温22度、9月1日は気温20度、この時期にしては涼しいが両日とも台風余波の強い南風が九十九里に吹き寄せ、海岸は激しい波に洗われていた。吹さらしの砂浜で潮風と波しぶきにさらされて撮影するのは到底無理と判断して海岸から離れたかなり陸地側の駐車場に車を風除けにして機材をセットする。いつもの砂浜と違って、木立に隠れてはいるがすぐ近くに街路灯と信号の灯りがあり、また深夜未明に立ち寄る車のライトや東側低くに連なる電柱電線も気になる。台風一過のおかげで透明度はいいが星の揺らぎが激しい。
 移動型赤道儀に載せた15センチ短焦点反射はとにかく風に弱い。車高が低い車の上を強風が絶えず吹きすぎる。こういう日は機材が揺れないように露出中ずっと体を風除けに使い、さらに防風用の傘をさして風上に立ったりするのでゆっくり星空を眺めるゆとりもない。ただ湿度は高くても風のおかげで前から悩まされている主鏡と斜鏡共倒れの結露の心配はまったくない。
 午前1時30分を過ぎた頃からふたご座方向の東天に撮影メニューに沿って鏡筒を向ける。冬の銀河の中とあって30秒露出でもびっしりと星が写し出される。31日の画像にはこじんまりと密集した散開星団NGC2420、コバルトブルーの小さな惑星状星雲NGC2392や明るい小惑星ベスタや14等の暗い小惑星ペネロープなども写っていた。9月1日はやや北天とさらに東天低空に向け、14.3等の小惑星サピエンティアはを捉えたが、いま回帰してかに座にいる144P串田彗星は15等以下なのか写っていなかった。
 薄明も始まった4時過ぎ、12等台の43Pヴォルフ・ハリントン彗星を両日とも同時刻で撮影した。ふたご座とかに座の境界を南東に一日約1°でひっそりと移動している(画像上)。
 この台風一過の快晴夜以降、九十九里は曇りと雨模様が続き、中秋の名月、満月となってしまった。星海原からオカにあがったのを機に15センチ反射の主鏡と斜鏡に結露防止のヒーターを取り付けた。ヒーターは以前にネットで購入し200㎜望遠レンズに付けていたものを流用している。主鏡は底面に直接ヒーターをとぐろを巻かせてゴムで止めただけだが、斜鏡への取付はなかなか難しい。接着剤で貼り付けられた斜鏡が取り外せないので、やむなくヒーター線を折り曲げて金属の底板にクネクネと這わせ余熱で間接的に斜鏡を温めるようにした(画像下)。さらに斜鏡金具から電源へのリード線の引き出しも回折像に影響がでないように極力細くしなければならない。実戦配備になるかどうかは次の新月期まで待つことになった。

 

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