バカブンド

探し物はなんですか?

「ディナーダ」風がふくままに スキヤキ鍋の話 オチは質屋の袋

2017年06月18日 13時54分59秒 | ロード人
旅はこうして始まった・・・

俺は黙って家を出て、近所の古道具に行った。そこで要らないようなスキヤキ鍋を捜した。
「おじさん、スキヤキ鍋ある」
「あるよ」
それは、丸い鉄のお盆似たいだ。
「これがスキヤキ鍋」
赤く錆びていた。
「そうだよ。長いこと事置いてあるから汚れているけどな」
「これは使えるの」
「ああ、磨けば使えるさ」
「いくら」
「そうだな、鉄くずみたいな物だから300円でいいよ」
「これが300円もするの」
「300円もあれば、ピカピカの鍋が虎の門の金比羅様で売ってるよ」
「スキヤキ鍋だぞ。まあ250円でもいいけど、それ以上はだめだ」
「わかった。家に帰ってお母さんに相談する。これは置いといてね」
家に戻り母親に言うと、
「そう、でも父さんに相談する」
いやな予感がした。でも、意外にも父親はいいと言ってくれた。
父親は今日は機嫌が良かったらしい。
母親と一緒に、古道具にスキヤキ鍋を買いに行った。母親は店のおじさんに、
「このスキヤキ鍋を買うけどもっと綺麗にして、それと、もう少しまけて」
「230円になった」
10分もするとスキヤキ鍋も綺麗になり、油が塗ってあった。
「これで、今日でもスキヤキできるよ」
店のおじさんは言う。嬉しくて母親に
「ありがとう」
と言った。
次の日、俺は自慢気にスキヤキ鍋を皆に見せた。
すると質屋の難田が、スキヤキ鍋を入れて持ってきた紙袋を指して、
「これ、俺んちの袋だ」
俺はとっさに、
「この袋は、家のお客さんの物だよ」
母親を恨んだ。
「もうちょっと、気を使ってくれないかな」
この鍋で、家では一度もスキヤキは食べて事はない。

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