MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『種まく旅人 ~夢のつぎ木~』

2016-11-29 01:09:02 | goo映画レビュー

原題:『種まく旅人 夢のつぎ木』
監督:佐々部清
脚本:安倍照雄
撮影:阪本善尚
出演:高梨臨/池内博之/安倍萌生/海老瀬はな/井上順/辻伊吹/永島敏行/田中麗奈/斎藤工
2016年/日本

人間関係が「希薄」な農家のコミュニティーについて

 前作『種まく旅人 くにうみの郷』(篠原哲雄監督 2015年)が比較的良かったので、本作も期待して観に行ったが、期待外れだった。
 例えば、女優になることを目指し8年前に地元の岡山県赤磐市を離れた、2014年現在27歳の主人公の片岡彩音が、兄の悠斗が病に倒れ、2011年8月に予定されていた初主演の舞台をキャンセルして地元に戻って兄が手掛けていた桃「赤磐の夢」の新種登録が叶うように神社にお参りする際に、いつも男の子に邪魔されるのであるが、ある日農林水産省の職員である木村治と共に彩音がその男の子を追いかけると男の子の両親のぶどう畑が荒れていることを知るのである。しかしこのような農家のコミュニティーの中で他の農家の家庭事情を全く知らないという設定に無理があるように思う。
 同様に、「赤磐の夢」の品種登録の可否通知で「拒絶」を知らせる手紙を受け取った彩音がショックを受けて飲んだくれている間に、木村治が宝町酒造の高橋親子など周囲を説得して彩音の桃畑の手入れをしているというストーリーの流れも不自然で、まず彩音は新種登録が拒絶される原因を当事者である農林水産省の職員である木村に訊ねるだろう。
 このように「いい話」にもっていくために却ってお互いのコミュニケーションが不自然に描かれているところに難があるのだが、義姉の片岡美咲の経営するレストランの壁に貼られていた ロバート・H・シューラ―牧師(Robert H. Schuller)の言葉「夢を築けばその夢があなたを築くだろう(Build a dream and the dream will build you.)」だけが妙に気になった。


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