すきゃったどろわーず

「ひきだしバラバラ」~mici_konによる、美術展レビューとか音楽や身辺雑記です。

僧侶か絵師か

2007-12-11 16:09:28 | アート
知るすべは無いけれど、ともかくどえらい技量の描き手が居たものです。
「鳥獣戯画」の原本を初めて間近に見て思いました。

私が中学生時代の教科書には、「伝・鳥羽僧正作」とあったように記憶しますが、
時代考証を厳密に行うとそれは考えにくいということです(パンフより)。

12世紀後半の人がサラサラと描いたこの巻物が、
湿度の高いこの国で現存することに驚きと感謝の念を覚えます。
今や「Cool Japan」と外国の人々にも喜ばれる日本の漫画文化の源流がここにあるとも云えるでしょう。

下書き用のエンピツも消しゴムも、ホワイトも無い時代です。
当然画材の紙も高価だったはずです。
手塚治虫先生をはじめとする多くのプロの描き手さんがおっしゃるように、
一発勝負の世界で、勢いのある確かな描線によって巻物を作ることがいかに凄いか。

明らかに描くのを楽しんでいる事が伝わる画面で、数百年後の人間もニヤリとさせてくれます。
特に甲巻は、教科書で見慣れた絵柄の部分でもありますが、ただただ感嘆。
参りました~!

ささら(多分)を持って踊っているカエルや、猿の高僧にせっせと供物を運ぶウサギ、
市女笠姿の母親にピッタリ寄り添うキツネの仔あたり、可愛かったです。

葉っぱで出来た光背を従えて威張った表情のカエル仏像にも笑えました。
どの動物の表情も、実に生き生きとしています。

土曜の夕方で、チケットを買う前に20分ほど行列しましたが、足を運んで良かった展覧会でした。
(最前列で見たい人は、延々行列してましたけど、二列目から肩越しの鑑賞が可能でした)

国宝となっている、甲・乙・丙・丁の4巻は、東京と京都の国立博物館に保管されているので、
こまめに情報をチェックすれば、見るチャンスはこれからもあるはずです。
(実は今春、ダ・ヴィンチの「受胎告知」の展示期間中にも一時公開されていました@東京)


◇ ◇ ◇ ◇

美術館の建物、垂直線を多用した、すっきり和風のシンプルなデザインで、
かなり好みでした。(隈研吾さん設計)
ほどよいお客の入りの時に出かけたら、かなり贅沢な気分を味わえる空間だと思いました。

休憩コーナーでは、ソファにゆったり座って外の景色を眺められるようになっていて、
すっかり暮れたミッドタウンのクリスマスイルミネーションがまばゆかったです。
出光美術館の借景・皇居の緑に匹敵する素敵な眺めでした。

そうだ、忘れちゃいけない笑えるポイント。
展覧会では、「鳥獣戯画」のみならず、それに影響を受けた、あるいは
その流れをくむ絵巻物が系統的に展示されていたのですが、
ダンスィも大喜びの作品があったのです。

「勝絵絵巻」(三井記念美術館蔵)と「放屁合戦絵巻」(サントリー美術館蔵)。
室町時代頃の絵巻ですが、前者はおっちゃん達が大事なものを比べっこしている図で、
後者は、大勢の人々がおならの威力や命中精度や臭いを競っている図。

はっきり云ってアホです。数百年前からダンスィは日本に存在してました。(笑)
でも、人間ってそんなものよね。アホだからこそ愛しい。
これ、コロコロコミックとかジャンプに掲載したらアンケートで一番取ったりして・・・

お店などには目もくれず、ピンポイントのミッドタウンでありました。
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