豆の育種のマメな話

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前田桂子著「北海道開拓を支えた高知県人」

2018-02-26 10:51:06 | 恵庭散歩<本のまち、私の本づくり>

2月某日,高知県南国市在住の前田桂子さんから一冊の書物が届いた。「北海道開拓を支えた高知県人,土佐藩の箱館探査から昭和の許可移民まで」と題する出版物で,A4402ページの大作である(写真)。北海道開拓150年の年に,本書が出版されたことを嬉しく思う。

氏の挨拶文によると,67歳から高知短期大学に学び,専攻科の時まとめた論文「大河のごとし礎を醸成した聖園と北光社の開拓精神,先人たちの子孫を訪ねて」,及び高知大学大学院での論文「高知県の北海道移民史,許可移民制度の成立過程と実態分析からの再検討」を柱に加筆し,自費出版したとある。

本書は,第1部:土佐藩と蝦夷地(土佐藩の箱館探査,坂本龍馬の蝦夷地開発計画),第2部:明治期渡道した高知県人(北海道支配地の被命,札幌農学校の土佐ボーイたち,湧別原野開拓の祖徳弘正輝,武市安哉と聖園農場,前田駒次と北光社),第3部:根釧原野を拓いた高知県人(許可移民制度と現地実態調査)の3部構成となっている。特徴は,関連資料の調査と実態調査のために,北海道の現地に足を運び,多くの関係者から聞き取りをした努力が大成されたことにあろう。

帯には,「始まりは幕末,土佐藩の箱館探査」「土佐の自由民権運動者たちは北見の地にキリスト教の里を拓かんと移民団を送った」「艱難辛苦の移民団はカボチャ弁当で陳情を重ね,網走―北見―池田間に鉄道を完成させた」「根釧原野は死の荒野だった」「許可移民台帳から浮かび上がる移民像」「北海道随一の酪農地帯を拓いた高知の許可移民の実像に迫る」「北海道厚岸町にあり,高知小中学校」の文章が付されている。

そして何よりも,「第62回高知県出版文化賞受賞作品」の文字が躍る。受賞を喜びたい。

因みに,氏との最初の出会いは,拙著の「恵庭散歩(1)恵庭の彫像」「恵庭散歩(2)恵庭の記念碑」の記事(「恵庭稲作事始め,中山久蔵より前に稲作を試みた高知藩」「恵庭北の零年,開拓の先駆け高知藩」)をブログで読んだので,資料として利用したいので冊子を送って欲しい旨の電話を受けたことによる。面識はないが,高齢にして(失礼)本書を取りまとめ出版された行動力に敬意を表したい。

コメント
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