豆の育種のマメな話

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南米の香り懐かしマラクジャ,パッションフルーツ,時計草

2012-01-26 16:09:06 | 南米で暮らす<歴史・文化・自然>

マラクジャの花

「時計草」の名前を認識したのはいつだったろうか,定かでない。ただ,アルゼンチンのマルコス・フアレス農業試験場の庭にあった一本が今も記憶に残る。生け垣に蔓を延ばし,5枚の白色花弁に基部が紫色の副冠,雄蘂は5本で広がり,1本の雌蘂は柱頭が三裂しており時計の文字盤のように見えた。広大なパンパ平野に照る朝の太陽を受けて,その花は華やかで,また可憐さを漂わせていた。

 

「この花が時計草だね」

と,一緒にいた妻に話した記憶があるので,休日散歩の道すがらの会話だったかも知れない。私たちは,19781980年(昭和53-55),JICAの専門家(大豆育種)としてこの地に暮らしていた。40才頃のことである。その後も注意していると,卵形の果実ができ,熟するにつれ果実は黄色に変色した。

 

パッションフルーツPassion fruit, Maracujá, Passiflora edulis Sims, クダモノトケイソウ)はトケイソウ科の多年生つる草で,ブラジル原産で現地ではマラクジャと呼ぶ。ブラジルが最大の生産国で,その周辺南米諸国に栽培地は広がる。近年は東南アジアでも栽培されている。

 

和名のトケイソウは特徴ある花の形に由来する。英名のPassion flowerは,「情熱」「情欲」ではなく,the Passion「キリストの受難」からきているという16世紀,中南米に派遣されていたイエズス会の宣教師らは,聖フランテスコが夢にみた「十字架上の花」を連想し,この花(ラテン語のFlos passionis)を布教に利用し,ヨーロッパへ持ち帰ったことから名づけられたという。ラテン語の「耐える」が語源である。

 

◆マラクジャの香りと味

時を経て200008年(平成12-20),60歳を過ぎてからのことである。南米パラグアイで再びJICA専門家(大豆育種)として仕事をする機会があった。この国でのパッションフルーツの想い出は,アスンシオンのシュラスケリア(ブラジル系の焼き肉店)「パウリスタ,Paulista Gril」でのデザートである。この店は,焼き肉店として規模が大きく,清潔で,モッソ(moso, ウエイター)達のサービスが良いので時々訪れた。

 

デザートにはワゴンに溢れるばかりのサービスがあり,私たちはマラクジャのフラン(flan, プリン)を食べた。その独特な香りと味が,訪れる度に食欲を誘うのだ。

もちろんジュースやアイスクリームも良い。何故か,この濃い味はヨーロッパ人が好むらしい


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