昔に出会う旅

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イタリア旅行No.7 ヴェネツィア リアルト橋の風景

2010年12月13日 | 海外旅行
11/10 イタリア旅行2日目、ヴェネツィアでの午後の自由時間で、サンタ・マリア・フォルモーザ広場からリアルト橋へ向いました。



細い路地を進み、リアルト橋に近いサン・バルトロメオ広場に出ると、銅像が立っていました。(下段の地図Aの付近)

銅像の土台に刻まれた文字「CARLO GOLDNI」から18世紀、ヴェネツィアが生んだ偉大な劇作家「カルロ・ゴルドーニ(1707~1793年)」の銅像のようです。

「カルロ・ゴルドーニ」は、イタリアのみならずヨーロッパで高い評価を受けた劇作家で、ヴェネツィアの大衆的な即興仮面劇を芸術的な喜劇に発展させた人です。

1762年にはブルボン王朝期のフランスへ招かれ、大いに活躍したようですが、不幸にもフランス革命の混乱の中で1793年に亡くなったとされています。

「カルロ・ゴルドーニ」が活躍した時代、リアルト橋の南には現在も残る「フェニーチェ劇場」「サン・ルカ劇場(現ゴルドーニ劇場)」の他、周辺に7ヶ所の劇場があったようで、この一帯は、オペラ・演劇が興隆した中心的場所でもあったようです。

ヴェネツィアの人々は、「カルロ・ゴルドーニ」の銅像に輝かしい共和国時代を思い起こし、偉大な芸術家の功績を語り継いでいるものと思われます。

インターネットで調べると、「カルロ・ゴルドーニの家」と称するホームページ(日本語ページもあり)があり、ヴェネチアでの絶頂期と思われる1748年(41才)から約12年間住んだ家を貸し出す案内が掲載されていました。

4人・1週間で、料金が700~1300ユーロで、クラシックな部屋の写真が掲載され、滞在型の観光には素敵な宿のように思われます。



「リアルト橋」付近の地図で、左上部分にヴェネツィア本島全体の地図を添えています。

橋にある矢印は、幅20mの中央通路、その両側に店舗の軒が並び、橋の両端には3mの通路を表現しています。

ヴェネツィアのシンボル「リアルト橋」は、島の中心に位置し、島を二分する大運河(カナル・グランデ)の両岸を結んでいます。

このリアルト地区は、共和国時代には国家機関があり、広く地中海貿易を牛耳る交易拠点でもあったようで、一都市となった現在でも役所、市場などがある中心地区です。



ゴンドラから見たリアルト橋南側の風景です。

約420年前の1591年(日本は桃山時代)に完成した「リアルト橋」は、「白い巨象」とも呼ばれ、長さ48m、幅22.1mで、高さ7.5mの中央から見渡す大運河(カナル・グランデ)の景色はすばらしいものでした。

「リアルト橋」が最初に造られたのは1180年で、舟を並べた簡単なものだったようです。

次に1265年には杭で支える木造の橋が作られましたが、1444年に水上パレードを見物する群衆が殺到し、壊れてしまいました。

その後、すぐに大型の木造の橋が造られ、中央部分が開閉して帆船を航行させる跳ね橋で、橋の上には店舗が並んだものだったとされています。

現在、大運河(カナル・グランデ)には四つの橋が架かっていますが、1854年にアッカデミア橋が完成するまでの674年間、「リアルト橋」は、唯一の橋だったようです。



上の写真同様、リアルト橋の東岸、南側から見た景色です。(地図B付近から撮影)

景色を楽しむ観光客で賑わい、橋の下のアーチにはゴンドラも浮かんでいます。

橋の中間には中央・両端の階段をつなぐ通路がありますが、見上げると実に雄大な橋でした。



リアルト橋の東岸、南側のたもとの写真です。(地図B付近から撮影)

欄干の下に線路の枕木のように石が並び、橋の土台は、アーチ中央からの重量を支える方向に石が積まれているようです。

この巨大な石橋を支える土台には12,000本のニレの杭と、カラマツの板が使われたそうで、石材と合わせると膨大な資材だったことがうかがわれます。

又、この場所が選ばれたのも比較的地盤が固く、高い場所だったことによるものだったようで、「Rialto(リアルト)」の語源が、「rivo alto(高い小川)」であると橋の東岸にある「ホテル・リアルト」のサイトに掲載されています。

橋の壁面に文字が刻まれた石板も見えますが、翻訳が出来ませんでした。



リアルト橋の南から見た大運河の東岸の景色です。

建物に沿って仮設橋が続いており、少し前まで浸水していたようです。

岸辺に並ぶ船の向こうにある黄色い壁の建物は、ヴェネツィアの水上バス(ヴァポレッ)のリアルト乗場(地図Cの場所)です。

前日深夜、船でここまで来てサン・マルコ広場近くのホテルへ歩いて行ったのを思い出します。



リアルト橋の南から見た大運河の西岸の景色です。(地図Dの場所)

赤いテントの下の水辺の席に座りのんびりとコーヒーを飲む観光客の姿が見られ、レストランの店員から呼び込みの声を掛けられます。

運河の美しい景色を楽しみながら、おしゃれな店が並ぶ通りを散策しました。



リアルト橋の北から見た大運河(カナル・グランデ)の景色です。

東岸にそびえる塔は、サン・ジョヴァンニ・クリソストーモ教会のものと思われます。

この景色に見とれ、しばらくの間、立ち止まっていました。

ところで、写真左手(西岸)の建物が浸水しているのが見えます。

東岸南側も浸水対策の仮設橋が見えていましたが、この一帯が比較的高い場所であるとの記述とは少し違うようにも感じます。



リアルト橋の中央通路から西岸方向へ下りていく風景です。

リアルト橋にも仮面の他、ヴェネツィアングラス製品、貴金属などのお土産物店が並び、お土産を選ぶ観光客で賑わっていました。




サン・ジャコモ・リアルト教会の横からリアルト橋を見た景色です。(地図F付近)

右手の商店街の先にはリアルト橋の中央階段が続き、左の階段は橋の北側の階段です。

この辺りのお店も多くの観光客で賑わっていました。

向こうにそびえる塔は、東岸のサン・バルトロメオ教会のものです。




リアルト橋の西岸の仮面が飾られたショーウインドウです。

何の仮面か、まったく分かりませんが、見ていると楽しくなります。

写真を見ていると、謝肉祭(カルネヴァーレ)を見に行きたくなりました。



正面の建物は、リアルト橋西岸にあるサン・ジャコモ・リアルト教会です。(地図Fの場所)

サン・ジャコモ・リアルト教会は、ヴェネツィア最古の教会と言われているようです。

ここからリアルト橋の階段、対岸の、東岸のサン・バルトロメオ教会の塔が望め、左手には古い公共の水道が見えます。

この教会の時計も24時間時計で、針の中心の太陽の顔もサン・マルコ教会等のものと類似し、それぞれに長い歴史があることを感じさせられます。


この後、リアルト橋西岸の大運河(カナル・グランデ)沿いを西に進み、魚市場辺りから対岸のカ・ドーロの風景を見に行きました。

参考文献
図説ヴェネツィア「水の都」歴史散歩 ルカ・コルフェライ著、田中悦子訳、河出書房新社発行


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