朱蒙(チュモン)が見た日本古代史(仮題)

「朱蒙」「風の国」「善徳女王」・・・韓国発歴史ドラマを題材に日本史を見つめ直す

「日本書記」におけるサテク家の人々

2012年08月22日 | 階伯(ケベク)

起死回生の策略でサテク一族を失脚させることに成功した武王とウィジャたち(第18話)。
ドラマではもうこの先サテク家の人々は登場しないのであろうか。

ところで、以前の記事で「サテク一族が百済において有力な貴族であったことは歴史的事実のようである」と書いたのだが、「日本書記」にもサテク(沙宅)家の一員だったと思われる人物の記録がいくつかある。

その中でも一番有名なのは、百済滅亡後、日本に亡命した沙宅紹明と思われるが、コトバンク(kotobank)の記述がわかりやすいので以下に転用しておく。

さたくしょうめい【沙宅紹明】
 
?‐673(天武2)
百済滅亡時に日本へ亡命したもと百済貴族。官位は佐平。沙宅は沙吒,紹明は昭明とも書く。百済の柰祇城主大佐平砂宅智積(ちしやく),大佐平砂宅千福らの近親か。渡来して天智朝の法官大輔(法官は式部省の前身)となり,671年(天智10)1月に大錦下の冠位を授けられた。聡明で文学に秀で,大友皇子の賓客となり,藤原鎌足が死ぬとその碑文を製したという。673年閏6月に死んで特に外小紫の冠位と本国の大佐平の官位を与えられた。・・・

鎌足の碑文を製作したというのがなにやら怪しい雰囲気ぷんぷんであるが・・・(鎌足の出自を百済と関連付ける説もある)

日本書記における記述は以下のとおり。

『日本書紀』巻二七天智天皇一〇年(671)正月是月◆是月。以大錦下授佐平余自信。沙宅紹明。〈法官大輔。〉

『日本書紀』巻二九天武天皇二年(六七三)閏六月庚寅《六》◆閏六月乙酉朔庚寅。大錦下百濟沙宅昭明卒。爲人聰明叡智。時稱秀才於是。天皇驚之。降恩以贈外小紫位。重賜本國大佐平位。

百済における官職の最高位「大佐平」を授かったというぐらいだから、相当に出世した人物といえる。(日本に来て百済の官位を受けるというのもヘンな話だが)

 

そのほかの沙宅氏。

●沙宅己婁

ドラマ「薯童謡」(ソドンヨ)に登場するサテッキル(沙宅己樓)のことか?

『日本書紀』巻十九欽明天皇四年(五四三)
十二月◆十二月。百濟聖明王。復以前詔普示群臣曰。天皇詔勅如是。當復何如。上佐平沙宅己婁。中佐平木州麻那。下佐平木尹貴。徳率鼻利莫古。徳率東城道天。徳率木州昧淳。徳率國雖多。奈率燕比善那等。同議曰。臣等禀性愚闇。都無智略。詔建任那。早須奉勅。今宜召任那執事。國國旱岐等。倶謀同計。抗表述志。又河内直移那斯。麻都等猶住安羅。任那恐難建之。故亦并表乞移本處也。聖明王曰。群臣所議。甚稱寡人之心。

十二月に、百済の聖明王、復前の詔を以て、普く郡臣に示せて曰はく、「天皇の詔勅、是の如し。当復如何にせむ」といふ。上佐平沙宅己婁・・・(中略)・・・、同議りて曰はく、「臣等、稟性愚に闇くして、都て智略無し。任那を建てよと詔したまふ。早に勅を奉るべし。・・・(以下略)

 

●沙宅千福

『日本書紀』巻二六斉明天皇六年(六六〇)
十一月一日。爲將軍蘇定方等所捉百濟王以下。太子隆等諸王子十三人。大佐平沙宅千福國。弁成以下卅七人。并五十許人奉進朝堂。急引■向天子天子恩勅。見前放著。十九日。賜勞。廿四日。發自東京。

十一月一日に、将軍蘇定方等が為に捉ゐられたる百済の王より以下、太子隆等、諸の王子十三人、大佐平沙宅千福・国弁成より以下三十七人、あはせて五十許の人、朝堂に奉進る。急に引て天子にゆく。天子恩勅みて、見前にして放着したまふ。十九日に、賜労ふ。二十四日に、東京より発つ。

 

●沙宅孫登

『日本書紀』巻二七天智天皇一〇年(六七一)
十一月
唐國使人郭務■等六百人。送使沙宅孫登等一千四百人。合二千人。乘船册七隻倶泊於比智嶋。相謂之曰。今吾輩人船數衆。忽然到彼恐彼防人驚駭射戰。乃遣道文等豫稍披陳來朝之意。

唐国の使人郭務悰等六百人、送使沙宅孫登等千四百人、総合べて二千人、船四十七隻に乗りて、倶に比知嶋に泊りて、相謂りて曰わく、今吾輩が人船、数衆し。忽然に彼に到らば、恐るらくは彼の防人。驚きとよみて射戦はむといふ。乃ち道久等を遣して、預めやうやくに来朝る意を披き陳さしむ。

 

●沙宅萬首

『日本書紀』巻三〇持統五年(六九一)
十二月戊戌朔己亥。賜醫博士務大參徳自珍。咒禁博士木素丁武。沙宅萬首銀人廿両。

十二月の戊戌の朔己亥に、医博士務大参徳自珍・呪禁博士木素丁武・沙宅万首に、銀、人ごとに二十両賜ふ。

 

●沙宅萬福

『続日本紀』巻廿九神護景雲二年(七六八)
七月壬午《十一》◆壬午。武藏國入間郡人正六位上勳五等物部直廣成等六人賜姓入間宿祢。」授女孺无位沙宅萬福從五位下。」日向國獻白龜。
 


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