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「伊賀の残光」青山文平

2017年08月02日 20時14分55秒 | 読書(歴史/時代)


「伊賀の残光」青山文平

単行本では「流水浮木―最後の太刀―」であったが、
文庫化の際、「伊賀の残光」と改題された。
伊賀忍者の末裔の老武士が主人公。
彼と、3人の幼馴染みを中心に物語が進行する。

先祖は忍者であるが、それは遙か昔の話。
さらに、8代将軍吉宗がお庭番を連れてきた。
隠密活動など、縁のない世界。
日々の生活は、サツキ栽培に費やされる。

だが、ある日幼馴染みの佐吉が殺される。
いったいなぜ?
佐吉は同心株を売って百人町から出ていこうとしていたという。
謎は深まるばかり。

前回読んだ「白樫の樹の下で」よりずっと深みがでた。
いっきに現在の状態に近づいた。
素晴らしい。

P41
「伊賀衆は伊賀の山中でそれぞれに生きる者であり、頼まれて力を貸すことはあっても、誰の臣下にもならなかった。服部半蔵は上忍の家筋の武将ではあったが、けっして主君ではない。(後略)」

なお、解説を葉室麟さんが書かれている。
これも文庫本の楽しみのひとつだ。

【ネット上の紹介】
その誇りに、囚われるな――。鉄砲百人組の老武士、山岡晋平。伊賀衆ながら伊賀を知らず、門番の御役目とサツキ栽培で活計(たつき)を立てていた。だがある日、伊賀同心の友が殺される。大金を得たばかりという友の死の謎を探る中、晋平は裏の隠密御用、伊賀衆再興の企て、そして大火の気配を嗅ぎ取った。老いてこそ怯まず、一刀流の俊傑が江戸に澱む闇を斬る。『流水浮木―最後の太刀―』改題。

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