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瞽女についての一考察(2)

2016-11-20 04:14:53 | 瑣事拾遺
瞽女の職は師匠の許で一定期間の厳しい修行を終え、師匠の許諾によって渡り稼業に出る事が可能となった。
渡り稼業の巡業先は他の瞽女と重複しない場所を選び、その経路は事前によく検討し、世話になる宿についても前もって
連絡をして出かけたのである。
そして巡業で得た実入りについては、師匠の許へ一定額の礼金を納め、残った実入りは手引き役、朋輩への分け前として
支払った。
瞽女の巡業は年間を通していつでも出掛けられたものではなく、特に彼女たちの来訪を心待ちにして呉れる農山村の
田舎廻りには、農繁期の終わった秋の祭礼などのハレの日や、汗にまみれた重労働に耐えて実りの秋を迎えた農閑期
など、彼女たちの芸をひと時の娯楽とした特別の日であった。
その他には新築の祝いや子供が生まれた、婚礼が有った、望外の豊作などの目出度い事があった場合には、特に
彼女たちを招いて祝言、祝い唄を披露して貰い、親戚や近隣にもその興行を楽しんでもらい、それがひいては
先祖への供養と感謝にもなり、又彼女たち瞽女にも功徳を敷衍し、彼女たちの境遇へ同情と慰撫する意味合い
もあり、それは瞽女にとっても有難い興行であった。

彼女たちが巡業で得た実入りは、現金もあったがほとんどは米であったそうである。
彼女たちが門付けで演じた曲目に、聴衆は謝礼として茶碗や皿、あるいは手に掴んで米を差し出した。
時に年忌法要に行き会った場合には一升枡で貰ったこともあったようだ。
米、現金以外には大豆、小豆、蕎麦、栗、梨やリンゴ、真綿や和紙、麻糸、草鞋などもあったようだ。
真綿や豆類、蕎麦などは宿で買い取って貰うことも出来、現金化もできたので有難かったそうだ。
特に一番の実入りの米は、宿でも喜んで買い取られたが、一般からも高く買い取られたのである。
それは、瞽女達が喜捨を受けた米には特別な力があると信じられていたからで、それには多くの人達の
善意、善根の籠った特別の米として、病人を抱えた家には病気平癒に効験のある米として高く買い取られた。

彼女たち瞽女が農山村に歓待された理由は他にもあり、それは彼女たちが持つと信じられた特別の”ちから”を
期待しての一面があった。
その”ちから”を象徴的に具現したのが、彼女たちの持つ杖であった。
視力を失った瞽女の目に代わる杖は、遠路遥々と手引きに連れられて僻陬の田舎廻りをしながら三味線で曲を
演じながら懸命に生きる彼女たちの命の杖でもあり、その杖に常ならざる”ちから”を期待したのは自然の思いであったろう。
杖はカシ材かズミ材で作られ、長さは5尺1~2寸であった。
新調した杖は必ず芸事の守護である弁財天に供えてから使用した。

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