佐藤富美保
春光の輝きまぶし吹く風の
頬に優しき 胸ときめきて
中島清子
観音の切れ長の目見上ぐれば
そのやさしさに しばし見■る
村瀬信子
嫁ぐ娘の祖母に別れとぬかづきし
墓処のほとり 彼岸花咲く
伊東ときゑ
銀杏大樹の梢明るし 寺庭に
風が黄金色の じゅうたんを織る
奥野ハナ
■■声を気にしてかけくる うから等の
声うれしかり 初秋の夕べ
馬場富士子
吾が肩のつかりて柚子湯こぼれたり
冬至静かに 夜の更けゆく
菅谷婦人会『白梅』第3号 1982年